第36話 七星めぐりの災難

みなさんこんにちは!

大石プロダクション所属の声優、七星めぐりです!


私は小学生の頃からアニメが大好きで、アニメのキャラクターを演じる声優になりたいと思いました。


そして中1から養成所に通い中2の終わりにここ、大石プロダクションの所属オーディションを受けたら……なんと、受かりました!


所属して初めの1年間は全く仕事が無くて焦っていたのですが、2年目にしおりちゃんとマヤさんと『Try☆Stars』というユニットを組んでから急に仕事がたくさん来るようになりました。


それからはダンスレッスンにアフレコ、雑誌のインタビュー、家での台本読み、ボイストレーニングと怒涛の毎日……。


私は人と比べて物覚えが悪いので人一倍努力しました。


特に、ユニットとしての活動は私の失敗が他の2人に迷惑をかけてしまうので、足を引っ張らないようにレッスン、レッスンの毎日です!


――そして今日はTry☆Starsの3周年ライブ。


緊張でコケてしまわないか心配でしたが、無事に練習通りこなすことが出来ました!


特に、今回はryoga様が見に来てくれているということで、いつもの5倍くらい緊張しました……。


そう、何を隠そうこの七星めぐり……ryoga様の大ファンなのです!!


ryoga様が出ているアニメのチェックはもちろんの事、キャラソンCD、キャラグッズに至るまですべて集めています。えっへん!


そして、ライブ後にまさかの生ryoga様が私たちの楽屋に降臨。

恥ずかしさのあまり私はうまく喋れなかったのですが、感動のひと時でした……!


ただ、残念なことに途中から意識が無いのです。


ryoga様が顔を近づけてきて(しかもめちゃくちゃカッコいいっ!!!!)後ずさった私がコケそうになっところ、抱きしめてくれたのです!


その瞬間、私の頭は真っ白になり意識を手放してしまいました……。


はぅぅ……、今思い出しても顔が赤くなってしまいます。


その後、私が目を覚ますとryoga様はいなくなっていました。ついでにマヤさんも。


まあ、ライブ後の打ち上げは参加自由なので全然問題ないのですがちょっぴり寂しいです。


そして、入れ替わりにエレナちゃんが来てくれていました!


エレナちゃんはフランス人とのハーフで、銀色の髪と青い目がとっても綺麗な女の子です。


クールで慎ましやかな大人の女性という感じで、子供っぽい私とは正反対。


エレナちゃんみたいになりたいなぁ……。


「エレナちゃん、今日は来てくれてありがと――」


「もう、なんで出ないのよあのバカっ!ああ、イライラする……」


「え、えっと……」


怒った表情で爪を噛みながらスマホを何度もタップするエレナちゃん。


クールで慎ましやかな……。

い、いやいや、今たまたま機嫌が悪いだけでしょう。


じゃあしおりちゃんに声かけようかな。


「しおりちゃん、今日はお疲れさま~!」


「ふふっ、やってくれましたねマヤさん。私と四条さんが言い合っている間に……。ふふ、ふふふふっ!」


「ひっ……」


しおりちゃんも何かに取り憑かれたかのようにスマホをタンタンとタップしています。


タンタン タンタン


部屋にはスマホをタップする音だけが響いています。


私が意識を失っている間にい、一体何があったんでしょうか……?

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