第2話 甘噛みであれば歓迎
眼前に居るのは年端もいかない少女。
たぶん15さいくらい?たぶん。
緑チェックのスカートと白のワイシャツに胸元のリボン。きっとアレだ。JKだ。
天使?悪魔?
そういった類の存在がコスプレするなw!
「それで、えーっと、、なんの御用でしょうか?」
光り輝く虚無空間で、登山着で固めた男と制服女が見つめ合う。
少女は頑なに表情を崩さない。
なんか言えよコラ。
しばらく無言で相手を観察すると、膨れっ面が加速する。両頬を膨らませ、両手を後ろにバタつかせ跳ねる。
なんだこの生き物。
しばし眺めて判ったことは、(コイツ痛いヤツだな。)ということ。
小さな体躯で怒りを伝えてきたあとには、急に涙目になりながら小さく呟く。
『ダメだよ、死んだら。』
『ダメダメ、認められない。断固拒否!ビシッ』
語尾になるにつれて声を大きくすると、最後には指を突き出しながら少女は宣言する。
『ダメですっ!人生やりなおしですっ!!』
ガーン!!!!!!!
とりあえずショックを受けてみた。
特になにも感じないな。
「え?なんで?」
「希望してませんが。」
光の空間が幻想的だな。とか、でもやっぱり暗闇のほうが落ち着くな。などと思考を逸らして正気を保つ。
目の前の子はなにに対して怒っているのだろうか?もしかしたら山の精霊で、山を汚す自殺志願者に憤っているのだろうか?
「あの、もしもし?」
「あなた様はどちら様でしょうか?」
『わたしの話聞いてる?!!!』
『だめだよ、死んだら。わかってる?』
「わからないです。」
「ちなみに、あなたが誰かもわかりません」
平行線。
このままだと交わらないな。
「あー。すいません。私が悪かったです」
「山を汚してすみませんでした。」
『山?!!!』
『山ってなによ!!いみふめいっ!ビシッ』
よし。これで山の精霊の線は消えた。
この調子でいくか。
「あー、あれか。」
「神様に頂いた貴重な命を粗末にしてしまい申し訳ありませんでした」
『頂いた?!!!』
『わたしわ命なんて与えないわよ!!あなたたちが勝手に増えていくだけっ!』
なるほど。生殺与奪の権は持ち合わせていない、、と。メモメモ....。
ん?てかコイツ【わたしは】って言ったぞ!!?
「ん?もしかしてあなた様は神様ですか?悪魔でも天使でもなく。」
おそるおそる聞いてみる。
できれば肯定してほしくない。
神様は厳かであってほしい。
『え?そうだけど?』
『それよりもお、わたしがおこってる り ゆ う!!』
ガーン!!!!
10年に1回レベルで驚いたわ。
チンチクリンが神様て。。。
『ちなみに!わたしが怒ってるのは、君が死に値する行いをしていないこと。因果応報の法則が揺れたわ』
ん?
揺らしてしまったのか。
それは申し訳ない。謝ろう。
「法則を揺らせてしまいましてごめんなさい。罪は償えるなら償います。手短にお願いします。」
裁判であれば即日判決が良い。
ちびっ子裁判官に裁かれてみようじゃないか。
『くっ、、、、』
『だーぁかーぁらーー!!そういうこと言ってるんじゃないってばあ!ばかっ!!』
?!!!
バカ?神様、バカってゆーたwww
噛み合わない....。。
絶望的に噛み合わないぞ、神とぼく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。