第4話

今日は昨日の桔梗の提案通り一緒に登校している。桔梗とこうして一緒に学校に行くのは何年ぶりだろうか。隣を歩く桔梗はとても満足げで、おいおいクールなキャラはどうしたんだと心の中でツッコんでいると後ろから


「せ〜んぱい!おはようございます!」


と言って抱きついてくる不破さん。こんなうちの生徒がたくさん通る所でやめてほしい。僕は、おい。といって剥がそうとするより早く桔梗が笑顔で


「不破さん。おはようございます。そろそろ退いてくれます?」


と全く目が笑ってないよ?すると不破さんは


「あ、村瀬さん。おはよっ!全然気が付かなかったよ〜」


とまるで挑発するようにさらにぼくに抱きつく力を強めた。それに対して明らかに不機嫌オーラの桔梗が


「お、お兄ちゃん!早くいくよ!」


と僕の腕を強引に引き、そのまま僕の腕にしがみつく桔梗。てかお兄ちゃんなんて何年ぶりに呼ばれたんだろう?桔梗顔真っ赤だぞ。そ、それにその〜なんだ。桔梗も成長してんな。なんて妹の成長にドギマギしていると


「……ちっ!このブラコンが。早々に対策を練ってご退場してもらわなきゃ!」


少し離れた場所で不破さんが何か言っていたがすぐに桔梗が組んでるのと逆の腕に抱きつきながら


「先輩!今日わたし、お弁当先輩のために作ってきたんです!食べてくれませんか?」


と上目遣いで自分の容姿をちゃんと理解できてる最適な角度でちょっと目を潤ませて聞いてくる。本当にすごいやつだな。ありがたいけどこれ以上踏み込ませるわけにはいかないので断ろうとして口を開こうとしたら不破さんが急に僕の耳元で


「………食べてくれないと、殺しますよ♡」


僕はこの言葉が本気だと昨日嫌という程理解していたので僕は黙って頷いてから


「………わ、わかった。ありがたくいただくよ。」


と言うしかなかった。脅した本人は嬉しそうに「じゃあお昼に先輩の教室いきますね〜」といってまるでアピールするみたいに僕の腕に自慢の胸を押し当てた。その一連のやり取りを見ていた桔梗は


「わ、私も一緒に食べる約束してたもん!だから私も今日お兄ちゃんの教室にいくから!絶対に!」


と不破さんに負けじと腕に不破さんほどでないにしろ均等の取れた胸を押し当てながら言う桔梗。しかも、もん!ってなんだ、もんって!。桔梗ってこんな可愛かったか?僕は二人の美少女に腕を掴まれて両手に華状態。周りからの射殺す視線をガン無視して学校へと向かった。その間不破さんは笑顔で桔梗は怒りをあらわにして睨み合っていた。……不破さん、笑顔で睨むって何それ?どうやってんの?怖すぎでしょ!


今日のお昼怖すぎてちゃんと喉に通るか心配だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る