第5話
僕の予想はドンピシャで的中してしまった。今僕は自分のクラスにいるのだが目の前で
「先輩!はい、あ~ん!」
不破さんが僕に向けてあ〜んをすると対抗して桔梗も
「……お、お兄ちゃん、あ〜ん」
もうクールキャラはいいのね?ま、この恥じらう妹もありだけど。そんな事を思ってる間にも二人は僕にどっちが食べさせるか争っている。
クラスの男子からは悪意の視線、女子からは、なんだ?あの視線は。まぁ、いいか。とりあえずは目の前の二人をどうにかするのが先決だ。そもそも僕はこの二人に付き合う義理はないんだが。ただ殺されそうだから。
「二人とも、僕は自分で食べたい。だからそういうのは正直迷惑だ。まだ続けるなら帰ってくれるかな?やめるなら一緒に食べよ。」
ちょっときつい言い方になったが僕だってこれ以上目立ちたくない。すると二人はさっきまでの勢いが嘘のようにおとなしくなった。
「先輩、ごめんなさい。とりあえずはやめますので、これからも一緒にご飯たべたいです。」
「お兄ちゃん、ごめん。私も今は諦める。だから私も一緒に食べたい!」
なんか完全に反省してるかはわかんないあやふやな答えだったが今は収まったからいいか。その後は他愛もない話をしつつ、時折不破さんと桔梗がバチバチになりかけたのでそれを収めて昼休みを終えた。
今日は昼休み以降は流石に悪いと思ったのか桔梗も不破さんも教室には来なかった。放課後になり荷物を持って教室を出ると不破さんが待っており
「先輩!一緒に帰りましょう!」
珍しく脅さずに誘われたので僕は「ああ、じゃあいくか」といって帰ることにした。ちなみに桔梗は部活をしているのでここにはいない。
「先輩はグイグイくる後輩ってどうですか?」
なんだ?今日はしおらしいな。なんかやりづらいな
「別に。ただ今までグイグイ来てくる人なんていなかったからどう対応したらいいかわかんないんだ。」
僕が正直に言うと少し微笑みながら「そうですか」と。僕は一瞬その表情をみて少しドキッと不覚にもしてしまった。そのせいか僕は言うつもりなんてなかったのに
「……不破さんがモテるのが少しわかったかもな」
自分で言って思わず口を手で抑えたが、ときすでに遅し。ニヤニヤした不破さんが
「へぇ〜私がモテるのわかるんですか〜」
と笑顔でいじってくるので僕はムカついたので不破さんにデコピンをした。不破さんは「痛った〜女の子に暴力なんてひど〜」って言ったので僕は「罰だ」といって少し笑ってしまった。
すると僕が笑うのが余程珍しかったのか不破さんは目を見開いてから
「せせせんぱい!いま笑いましたよね!?やばいめっちゃ可愛かったんですけどーー!もう一回、もう一回笑ってください!写真に収めるので!」
だいぶ興奮してる不破さんを無視して先に進んだ。後ろから「お願いします。ちょっとだけ、先っぽだけでいいので!」としつこくお願いしてくる。なんだ先っぽだけって。
「じゃあ家に着くまでに僕を笑わせてみてよ。できるならね?」とちょっと意地悪をしてみた。すると「ガチで行きます!」鼻息荒く言ってから家に着くまでずっと僕を笑わせようと頑張っていたが結局最後まで笑わせる事ができなかった。最後、顔を膨らませて悔しそうにしてた顔が少しおかしかったので
「ふふっ、じゃあまた明日。」と言って不破さんの頭を撫でた。
不破さんは呆然とされるがままに撫でられたあと顔を真っ赤にし、
「ち、ちょっとちょっと不意打ちはずるいです!!ま、また明日!!!」と恥ずかしかったのか走って帰ってしまった。
自分からするのはいいのにされるのは恥ずいのか。いいことを知れたな。てか僕も何してんだ、いきなり女の子の頭を撫でるなんて。でもあのときの不破さんは可愛かった。これで脅迫まがいな事を言わなければな。
僕は不破さんが去ったあとを少し見てから家の玄関をあけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます