07 ENDmarker.
夜空。
曇っているし、月も隠れていて。何も見えない。その空に、もう彼はいない。彼は、空の向こう側へ行ってしまった。
バーの、端の席。外の景色と、夜空が見える場所。彼と出会ったのも、ここだった。
何か特別な出会いや、衝撃的な出来事があったわけでもない。ただ、相席になった。それだけで、お互いが、お互いの相手なのだと、思った。
彼が、もう来ないと分かっていても。ここに来て、ゆっくり、お酒を傾ける。日本酒のときもあれば、ワインのときもあった。気分によって、変わる。彼は、ずっと炭酸飲料だった。仕事の関係で、呑めないと、ほほえんでいたのを覚えている。お酒の力を借りてでも、仲良くなればよかった。彼の姿を。もっと鮮明に、覚えていたかったのに。
彼と。
もっと仲良くなっていれば。
いつも。思う。
曇っているのに。流れ星が、見えたような気がした。それは、暗い空をいくつも横切って。綺麗に、線を残して消えていった。
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