第6話

「これが、最後の通信です。そして緊急発進した他の機体が見たのは、この、写真の光景でした」


 燃え上がる海。


「彼は。街を守ったつもりなのでしょうが。私から言わせていただければ、ただの犬死にです。彼には、生きてここに帰り、これからも街を守る義務が。戦い続ける責務があった。それを放棄し、掩護を待たずに戦闘を行ったのは、間違いだと、思っています」


 総監の女性。苦々しい、顔。


「いえ。もうしわけない。つい熱くなってしまった」


 総監の女性。立ち上がる。


「彼が街を守ったというのは、紛れもない事実です。彼がいなければ、この街は写真のような光景になっていた」


 彼は。もういない。それだけが、事実として、ここにあった。


「これが、管区として提供できる情報のすべてです。隕石を構成する鉱物や、落下した区域などの情報には守秘義務があります。くれぐれも、誰かにお話しなさらないように」


「はい」


 椅子に沈み込んだまま。わたしは。もう、立ち上がれないかも、しれないと。なんとなく、思った。

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