始まりー4
さて、こいつをどうにかしないとな。
俺は、腰に付けたナイフに手を添える。早めにけりつけないとあいつらが来るな。
「早めに決着つけさしてもらうよ!」
俺は木から飛び降りる。すると、カルキリスは、奇声を挙げ、逃げようとする。
そんなに強くないのにな俺……。
そうして俺は―――――――
**************
「ふぃ~」
疲れたというように、連十は、ため息をついた。
それはそうだ。今連十は、先ほど自分を襲ったカルキノスの上に座っていた。『イフ』は人知を超えた生命体であり、たった一人のただの人間が相手にしていいような相手ではない。さらに言うと、カルキノスは、かに座のカニの姿を模した『イフ』なので、知名度も高く、さらに孫女装子らの『イフ』よりも強いのである。
そんなカルキノスを単独討伐する時点で、連十は、人外の域へと達してしまっていた。
「さてと、朝食の材料もそろったし、そろそろ帰――――」
突然、連十の言葉が途切れた。よーく耳を澄ますと、遠くから、何か音がする。とてもきれいな音色の音だ。
しかし、連十にとっては、あまり好ましくない音であった。
「早めにやったから、来ないと思ったのに」
どんどん音は近ずいてくる。そしてついに、音の主が姿を現す。
それは、空から現れる神秘の者たち。過去よりたびたび現実世界へと踏み入り、人間の歴史に介入していた人外の者たち。名をーーーーー
「天場族」
連十の口からため息と一緒にその名が出た。彼等は、人の歴史の中で、神、天使などと言われている存在だ。
「これをやったのは貴様か?」
天場人であろう青年は、そう問いかける。背中には、謎の文様。
(……【アーク】)
【アーク】。天場人が持つ特有の能力。空を自由に行き来したり、その人物に圧倒的な力を与えたりなど、その力は多岐に及ぶ。その力を使って、『イフ』を討伐している。
そう、人では『イフ』を討伐するのは、不可能なのである。
つまり、今、『イフ』の死骸の上に座っている連十は、異常なのだ。連十は、ただの人間である。それは天場人の青年もわかっているようで、疑問めいた顔をしている。
「………いいえ違いますよ。この死骸は俺が来た時からありました」
連十は、そう言う。連十は、あまり目立ちたくない性格であるため、ウソを言ったのだ。
青年は、少しの間納得していないという顔だったが、少し目を細めて口を開く。
「そうか……。この辺りはあまり近づくな。いいな」
「はい」
青年は、そういうと、また飛んで行った。
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