第10話 地下迷宮三日目その1


名前:ショウマ

種族:人間


冒険者LV:13


体力:41

魔力:2405


攻撃力:33

魔法攻撃力:1540

防御力:18

魔法防御力:663

行動速度:39


職業

 魔術師 ランク2

 従魔師 ランク1


スキル

 魔術

  火属性 ランク2

  水属性 ランク2

  風属性 ランク1

  

 従魔術

  魔獣従術 ランク1

  植物従術 ランク1

  昆虫従術 ランク1

  死霊柔術 ランク1 


EXスキル:従魔にした相手を美少女にする(特殊/固有)


装備

 『賢者の杖』

 

持ち物

 『蝙蝠の牙』×4

 『蝙蝠の羽』×2

 『巨大猛毒蟇蛙の喉』 

 『巨大猛毒蟇蛙の胃袋』

 『梟の嘴』

 『梟の羽』




「1階にいる魔獣にほとんどダメージ受けずに一撃で倒せる、

 って事は2階に行ってOKだよね」


「ショウマさま、朝ゴハンですっ」

「ああ、ケロ子も来て」




名前:ケロ子

種族:亜人/従魔


冒険者LV:2


体力:59

魔力:38


攻撃力:27

魔法攻撃力:6

防御力:30

魔法防御力:19

行動速度:18


職業

 闘士 ランク1


スキル

 特殊攻撃

  体当たり ランク1

  

 種族特性

  毒抵抗   

  水中移動



「ケロコ、強くなってますっ」


「スキルには『料理』とか出てこないんだ。

 美味しいけど?

 重要スキルじゃない?」


ケロ子の作ったスープを飲みながら考えるショウマ。

おそらく冒険者や迷宮に関係ある事しか表されないのだろう。


「火属性の魔法がランク2に上がってた

 昨日は『炎の玉』しか使ってないもんね」


にしても村では毎日のように『炎の玉』『切り裂く風』を練習していた。

『氷撃』の練習はしていない。

何故かというと氷がしばらく残ってしまうからだ。

冬でもないのに氷が野原に転がっていたら怪しすぎるだろう。

それなのに。


「最初から氷属性はランク2」


考えられるのは戦闘に使った事だ。

特にカエルには氷魔法しか使わなかった。

ここから推測されるのは通常時に練習してもランクは上がらない。

迷宮で魔獣と戦った時だけランクが上がる。

魔獣を倒すと経験値とかそんなようなモノが発生する。


「迷宮探索して魔獣を倒しながら、レベルアップしていくしかない?

 基本が大事? ゴリさん?

 それなんてス〇ムダンク?」


「うーん。

 僕 地獄みたいなところにいたんだよ。

 天使に言われて異世界に来てみたら、そこは地獄だった。

 コンビニ無いし、エアコンも無い。

 未成年なのに働かされる。

 これってアレじゃないの?

 序盤で主役が騙されて迷宮の最下層に落ちるパターン。

 そこで数年生き延びた主役は最強みたいな?

 もっと僕、最強で良くない?」



周りに常識有る人間がいたなら切れていたであろう。


「お前が居たの、普通の村だから! コンビニ無いの普通だから!

 この世界では誰でも子供のうちに親の手伝い位するから!」


残念ながら周りにはツッコミ役が誰もいない。 




「行動指針は決まった。

 1日交替で迷宮探索、街へ行く」


「収支に余裕が有るようなら、これに休みの日を加えて3日スパンにする

 3日と3日で6日。

 さらに日曜日もお休みで一週間?

 働き方改革?

 これがいいね」


「はいっ、ショウマさまっ」


分かってないけど同意するケロ子。

ケロ子にはショウマにツッコミを入れるという選択肢は無い。



ショウマは心の中で思う。


「後は目標。

 目標と行動指針。

 従魔少女たちが働く。

 僕自身は遊んで暮らせるようになる。

 でもあからさまに従魔少女に負けてるのもヤダな。

 ある程度は僕のステータスも上げよう。


 従魔少女は何人くらい?

  10人

 多いな。この家に住むのもキツイよ。

  5人だとどう?

 例えば4人チームを組んで迷宮探査。残った一人と僕は家でキャッキャウフフ。

  4人で迷宮探査って人員足りてる?

  6人で1チームくらいかな

 地下迷宮と言えば6人?

 てことは全部で7人?

 そうするとちょうど週一になる。

 

ヨシ。

じゃ最初の目標は

従魔少女を7人仲間にする!

6人でチームを組んで迷宮探査!

残った一人と僕は家でキャッキャウフフ!」


そしてショウマは口に出している。

ケロ子がビミョウな顔になっているのも気づかない。


ショウマ16歳。

清々しい位にクズであった。





冒険者チーム順位発表の時が近づいている。

組合の受付嬢アヤメは緊張している。

目の前の女冒険者カトレアがイライラしているのだ。

1000位に入るかどうか本気で不安らしい。

気持ちは分かる。

1000位以内のチームはそれだけで報酬金貨1枚出るのだ。

一週間で10000Gだ。


「アタシの給料3カ月分だもんね」


カトレアさんの所属するチーム『花鳥風月』は10人編成だ。

10人で分けても馬鹿にならない金額だ。


「まだかな~。アヤメ~」

「キキョウ主任が今準備してます。

 待ってください」


「昨日は地下3階まで行ってハチどもを狩りまくったんだ。

 なんとか届いたと思うんだけどな」


“殺人蜂” 

地下3階に現れる危険な昆虫型魔獣だ。

カトレアのセリフを聞いた周りの冒険者がざわめく。


「あの“殺人蜂”を狩りまくったとは! さすが『花鳥風月』」

「アイツら3体以上で現れ麻痺毒を使ってくるからシャレにならん」

「飛び廻ってるからオレの剣じゃ当らねーんだ」

「弓矢だと特攻が付くって聞くが、それでも半端な弓戦士じゃ一撃じゃ倒せない。アローエイプ』だけの事はある」


「さすがですね。カトレアさん」

「おうっ、ウチの弓矢は世界一だぜ」


アヤメも他人の事ながら気分が良い。

組合の事務員とはいえ、目的は冒険者のフォローだ。

仲の良い冒険者が活躍してくれれば嬉しい。


「あっ、出たみたいですよ」


組合の主任キキョウが大きな張り紙を持ってくるのが見える。

他にも数人が手伝い順位発表を張り出している。

すぐに冒険者たちが群がってくる。

これが冒険者組合の毎週のイベントなのだ。


紙で発表されているのは3000位までだ。

それを書き写すだけでも結構な労力なのだ。

それ以下も全てカウントされているらしく、冒険者たちが問い合わせれば答える事が出来る。

アヤメのところにやってきたキキョウ主任は疲れた顔をしていた。


「はぁ~、終わったわ」

「ご苦労様です。

 いつも思うんですけどチーム順位ってどう決められてるんですか?」


「うーん『冒険者の鏡』が結果を出すわ…

 あれは『失われた技術』と帝国の魔道具技術、王国の研究者の知識が全てつぎ込まれた人類の叡智の結晶なの。

 詳しい仕組みは私じゃ分からないわね」 


チーム順位が功績ポイントで決められているのは分かる。

アヤメは冒険者の功績を記録している。

常設依頼の薬草採取や魔獣退治の記録を残している。

薬草やドロップ品を組合が受け取り、その報酬を冒険者に支払っている。

それが冒険者個人の階級アップに使用されている組合の記録だ。


最初アヤメは個人の記録から、チーム合計功績を計算しているんだと思っていた。

でも違う。

アヤメ達が記録している以外の事でも測定されているのだ。

迷宮では組合で依頼していない魔獣との戦いも多く存在している。

1階で言えば、“動く骸骨”“飛び廻るコイン”などは倒しても組合では記録していない。

それでも襲われれば冒険者は戦わざる負えないし、経験やドロップコインのため積極的に戦う冒険者も多い。

そういった魔獣退治がチーム功績にカウントされている。

いやカウントされていると思われる。

アヤメ達の記録には功績が無い冒険者もランキングに入っていたりするのだ。

研究者によると迷宮内での戦い全てがカウントされていると言う、が真偽の程は定かではない。


「チックショウ!……

 なんだこりゃあ」


「どうしたのかしら」

「カトレアさんの声、

 ちょっと様子見てきます」



カトレアは大声を上げる。

そこには張り出されていた。


1001位 『花鳥風月』


悔しい。

1000位以内なら褒賞が出る。

チームに対して金貨一枚だ。

1001位に落ちた途端銀貨一枚になるのだ。

けどそれは仕方が無い。

上には上がいる。

カトレアより実力ある冒険者が上にいるのならまた頑張ればいい。

自分とチームの実力を上げればいつかは追い付ける。

それだけの事だ。

しかし問題は 『花鳥風月』 の二つ上だ。


999位  『ショウマ』


「何だよ! これ!」

「カトレアさん、どうしたんですか?」


「ショウマだ! ショウマが999位になってる」

「!

 …いや、カトレアさん。

 同じ名前の人ですよ。

 偶然名前が重なった別チームでしょう」


「ウチは3000位までのチームを毎週見てるんだぜ。

 先週までこんな名前のチームは無かった。」

「だって弟さんは先週冒険者になったばかりですよ」


「そうだ!

 あり得ない。

 だけどショウマだ!

 こいつがいなければウチは1000位に入ってる。

 アイツいつもこういうイヤガラセが得意なんだ。」


カトレアは叫んでいた。

「うおおお、

 ショウマのくせに。

 ぶっ殺す!」 



【次回予告】

“屍食鬼”と書いてグールと読む。

アンデッドと同じエリアに出没するため、アンデッドと混同されたりもするが彼らは違う。

読んで字のごとく屍を喰らう者なのだ。

「はいっ。ケロコ、ジョシカクですっ」

次回、ケロ子が何かを拾い上げる。 

(ボイスイメージ:銀河万丈(神)でお読みください)

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