三角入れ替わり、あるいはそれ以上の玉突き入れ替わり(2020/12/28)

 入れ替わりともTSともまったく無関係な、初挑戦の仕事をどうにか切り抜け終え……気づけばその間にけっこうな時間が過ぎていました。

 キャッチコピーに書いておいた「妄想」も「メモ」も全然書いていないなと改めて気づき、ならここで入れ替わり作品のプロットでも作ってみたり、それを小説として完成させるまでの記録を綴ってみたりしようかなと考えていたのですが、その前に触れておきたい入れ替わりの要素がまだあるのを思い出しました。


 普通の一対一の入れ替わりは、AがBになりBがAになります。

 それに対し、AがBになり、BがCになり、CがAになるタイプの入れ替わりがあり、三角入れ替わりと呼ばれます。また、これが四人以上になることもあって、その場合は玉突き入れ替わりと呼ばれることが多いかなと思います。

 この形式にも様々なメリットとデメリットが考えられます。


 まずメリットとしては、三人以上の入れ替わりとなることで、ストーリーにさまざまな絢が生じやすくなることでしょう。

 また、一対一の入れ替わりで恋愛を描く際に地味に問題になる「互いが互いに『元の自分』の身体に恋愛感情を抱けるのか?」という問題をクリアしやすくなります。三角入れ替わりの場合にも、片方は『元の自分』と恋仲になるわけですが、双方向よりはまだ説得力が増しそうです。


 デメリットは、それらを引っくり返して考えると導かれるものが多いです。

 多人数入れ替わりだと人数が多すぎて一人一人の掘り下げが捗らない危険性が出てきます。五人くらいが限界でしょうか。あまりに多い場合は、ドタバタ作品のオチとして用い、後は読者が自分で妄想を膨らませるというやり方の方が適切なのかもしれません。

 また三角入れ替わりなどの中でカップルが成立する場合に、「Bの身体のA」と「Cの身体のB」が結ばれるとして、「Aの身体のC」は無視されてしまうのかという懸念も出てきそうです。Aの立場などに甚だしい問題がある(けれどCにとってはその立場こそが求めていたもの)ということにすればクリアできることではありますが……。


 なお、ここからは完全に個人的な趣味の話ではありますが、奇数人数入れ替わりの場合、「男→男」または「女→女」のパターンが必ず生じてしまうのも、残念過ぎます。

 ただ、そんな私にも好きな三角入れ替わりのパターンはあり、「男→女→動物→男」のタイプはかなりいいなと思います。商業作品ですと、三角形が成立しているかはやや微妙ですが、喜多喜久『猫色ケミストリー』(宝島社文庫)、此花 咲耶『ソウル・オブ・サラマンドラ』 (プレリュード文庫)の二つがすぐ思い浮かびます。どちらも「男→女→猫」ですね。

 これは「男→女」の部分に着目すればTSで、「女→動物」のところはTFで、一粒で二度おいしいと言えます。「動物→男」については、昏睡状態にでもなっていてくれれば面倒なことにならなくていいかなと(普段、「元女性の男」が入れ替わりもので余分な存在と呼ばれたりすると腹立たしく感じるものですが、こういう時には自分も余計なもの扱いしているわけで、勝手な話ではあります)。

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