せ.『星座』とは

「雷を扱う少年が、アイアンメイデンを背負う男と一緒にゴブリンと戦っていたり……


 『12色の大迷宮』と呼ばれるダンジョンを攻略しようと突入する勇者達……


 異形の生物兵器に襲われ、学校に立てこもる少年達と、羽衣を身に付けた軍人……


 バイクに乗った青年が、悪の詐欺グループと対決していたり……


 涙を流しながら支配者に反逆リベリオンしていた、とある人造人間の少年……


 デスゲームに巻き込まれた12人が、1人また1人と次々に倒れていきながらも先へ進んでいたり……」


 突然で早口。拓真の耳には入ったが内容はほぼ入らず唖然としていた。可憐でおしとやかな印象の女性からは放たれたとは到底思えないような戯れ言だったからだ。メルヘンやファンタジー、小説や映画の様な世界を『望遠鏡で見た』などと言うからだ。


「あ、もしかして信用してない? 嘘だとか思ってる?」

「い、いやいや……突飛な話がいきなり出てきたもんで。それより、愛翔さんが望むことって?」


 はぐらかした拓真の態度に苛立った愛翔は、頬を膨らませ不満の表情に。続けざまに望遠鏡を拓真に向け、提案を口に出す。


「あなたにも、これを覗いてみてほしいんだ。『第3の選択肢』を選んで無事に幸福を掴んだ人は初めてだし、これを覗いた時にも『選択』が表示されるかもしれない。そうなったらもちろん、『第3の選択肢』を選んでほしい。これは君にしかできない事だから。頼んだよ。お礼は盛大にしちゃうからね」


 真剣な顔での美少女からの頼み込み。拓真が断れるはずもなく、黙って頷き望遠鏡を手に取った。しかし持ち上げ覗こうとしたその瞬間、予見による『選択』が表示される。


「あ、『選択』来た?」

「はい……えっと、『最善の選択肢』の方は“望遠鏡を覗かずに立ち去る”です」

「……そっか。最悪の方は?」

「『最悪の選択肢』の方は“望遠鏡を覗かずに立ち去る”……あれ? どっちも、同じ?」

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