う.『宇宙』とは
既に陽は落ち、月明かりだけが大学の屋上を照らしていた。しかしその中心部にて、ランタンが地に置かれ点灯。そばに立っていた2人に光が当てられた。
「君、『第3の選択肢』を選んで幸福を手に入れた上に生き残ったって本当なんだよね? 今更だけど」
やけにフワフワとした、ボリュームがあるピンクの長髪を垂らしている女性が1人。目元も垂れており口は小さい。覇気のない瞳と声色が拓真を魅了する。
「あっ……ほ、
彼女の名は愛翔。choice・chaseの中でも特に優秀な『
「嘘でもそうでなくても、私が望むのはただ1つなんだけどね」
すると愛翔は白いパーカーの内ポケットから、板ガムのパッケージ程の大きさをしたカプセルを取り出した。袖から指先だけが出ている所謂萌え袖の状態で、カプセルはランタンの光へと誘われた。
「このカプセルはこうやって、“暗い場所で光に当てると望遠鏡に変形する”んだよ」
次の瞬間、カプセルは急激な膨張を遂げ望遠鏡へと形を変えた。手で持つ事も、三脚を取り付け使用する事もできるタイプのもの。ピンク色を基調とした可愛らしい見た目とは裏腹に、サイズは大きめで愛翔の腕よりも長かった。
「夜にこれを覗くとね、皆の『選択』を観察できるんだ。あぁっ、あくまで研究のためで、盗撮とかもしてないよ。そこは理解してね」
1人で勝手に慌て出した愛翔に可愛らしさを感じた拓真だったが、彼女は間髪入れず発言を続けるため割り込む暇も無かった。
「でも空を……あの
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