襲撃
その日も私は、リアとの会話を楽しみに帰宅しようとしていた。
けれど、いつも明かりのついている家は真っ暗で、人気もない。車はあるし、お父さんも今日はお休みで家にいるはずなのに、いつも帰っている家はまるで別の空間のように不気味に思えた。
不振に思った私は、急いで家へと入った。
「ただいま!……ねぇ誰もいないの? 」
玄関を見ると、両親の靴はある。外出している形跡はない。
もう暗くなっているのに真っ暗な家に足を踏み入れると、私の鼻を強い臭いが襲った。
ひどく鉄臭くて、重い匂い。
それがなんなのかは、リビングには言ってすぐにわかった。
「ヒィッ!?」
真っ暗なリビングで、両親が倒れていた。ピクリとも動かず、回りは水浸しで、色は見えないがそれが血であることは臭いが教えてくれた。どう考えても、絶命しているのは目に見えていた。
突然の両親の死体に全く状況が理解できない私だったが、ミシリと床を踏む音がして我に返った。
見ると、両親の死体の向こうに包丁をもった誰かがそこにいた。見るからに男で、その手からピチャリと、水が落ちていた。
━━━━ッ!!
普通ならここで腰を抜かしたり、足がすくんで動けなくなるだろう。けれど私は三年も野相だ誰かの暴力に苦しめられていた。そのため条件反射で自分の部屋まで逃げてしまったのだ。
助けて、怖い、誰か……っ
急いでいたため鞄をその場においてきてしまった。スマホもその中のため外部と連絡ができない。
完全に混乱した私は部屋の鍵をかけると、すぐに通信石を手にした。
「リア、助けて!!」
すぐに繋がると、写し出されたサリアの顔に迫るほど顔を近づけて私は泣きながら懇願した。
『お、落ち着いてサオ……っ。いったい何があったんだい!?』
私は両親が殺されたこと、そして今その犯人が扉を蹴り迫っていることを告げた。
「どうしよう、このままじゃ私、殺されちゃう……っ」
『サオ、よく聞くんだ。落ち着いて、近くに武器になるようなものはないかい?』
辺りを見渡してハサミを見つけると、それを彼に見せた。彼は少し野相だ考えると、真剣な顔でこう告げた。
『いいかいサオ。向こうはサオを殺そうとしている。残酷なことを言うけれど、敵を殺さないと君に助かるすべはない』
人を……殺す?
私は反射的に首を横に振った。だって人殺しなんて……いけないことだから。
でも心の中で、殺らなければ殺られる、そんな言葉も木霊する。彼もそれがわかっているのか、静かに呟いた。
『サオ、もう時間がない。扉はすぐに破られてしまうだろう。僕はなにもしてあげられない。けれど君には……生きてほしい。生きることを、諦めないでほしい』
今にも泣きそうな彼の顔は、本当に私に死んでほしくないと願っているのがわかる。相手は両親の敵、どうして家を襲撃したのかはわからないけれど、あいつが憎いことには変わりにい。
彼に背を押されるように、私は小さく頷いた。
『……これは君だけの罪じゃない。僕も一緒に背負うよ。作戦を伝えるから、よく聞いてね』
━━バンッ!
彼の作戦を聞き終わったと同時に、扉が蹴破られた。
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