基本一話終了と言いましたね、あれは本当です! 基本ですから! 気が乗ったので書いたのです。こっから先は有りませんけど!

「何見てるんです?」

「ギーコですよ」

 マネージャーに尋ねられたアイドルの少女がそう答えると、マネージャーの女性が成る程と言うような顔をした。

「ああ、弟も見てますよ」

「マネージャーの弟って何歳?」

「十六歳です。今年で十七です」

「健吾と同じだ」

「健吾くんですか。前にちょっとだけ顔見ましたけど、そっくりでしたね」

 黒髪の男の子。

 身長もそこまで高くはない。双子といえば、それで通じるような見た目であった。

「えー、マネージャー、もしかして健吾に……」

「そんなわけないでしょ」

「安心した。健吾はどこのお嫁さんにも出さないからねっ!」

「お嫁さんじゃないでしょ……」

 少しばかり呆れたようで溜息を吐く。

「で、今回は何を?」

「興味あるんですか?」

「私も時々見ますからね」

「ホラーゲームの実況ですよ。『廃墟探索』の。アーカイブが出たみたいで」

「え、廃墟探索ですか?」

 青ざめた顔をしたマネージャーは未来から距離を取った。それはスマートフォンからと言った方がいいのか。

「どうしたんですか?」

「……未来さん。見る時はイヤホンして下さいね?」

「え、もしかしてビビってるんですか?」

 意地の悪い顔をした未来がそう尋ねると、マネージャーは開き直ったかのように答える。

「それで、何が悪いんですか?」

「いや、別に……」

「だ、大体ですね! ホラーゲームとかよくないと思いますよ!」

「後で一緒にホラーゲームやります?」

「遠慮しておきます」

 キッパリと断られて、その辺りで未来もやめておく。

「えー、じゃあ一人で見ますよ」

「是非、そうして下さい。後、車に乗って下さい。送っていきますので」

「いつもありがとうございます」

「はいはい」

 マネージャーは外まで案内して、大切なアイドルを車の中に入れて、運転席に座る。

 運転を始めて、十分程経つとマネージャーの後ろの席から悲鳴が聞こえた。

「ひぎゃぁっ!」

「…………」

 元々、想定できていないわけでもなかった為、マネージャーの心は揺るがない。少しばかり、その悲鳴を上げる未来の顔を見たいとも思ったが運転に集中しなければと、自分に言い聞かせる。

「おっ、おっ、ええっ。こ、こんなにヤバイの?」

「あれ、どうしたんですか?」

「ちょ、ちょっと待って……。ねえ、何で教えてくれなかったんですか!」

「聞かれなかったので」

「で、でもギーコの動画を見ないのはギーコのリスナーとして……!」

 謎のプライドを刺激されたのか、悲鳴を上げながらも未来はその動画を見続ける。

「みぎゃあああ!」

 そのすぐ後に、車内に少女の絶叫が響き渡った。

「ーーほら、着きましたよ」

「あ、ありがとうございます。玄関までついて来てくれませんか」

「何でですか?」

 そうマネージャーが尋ねると、未来は彼女の服の袖を引く。

「一人にしないでぇえ!」

「分かりましたよ!」

 仕方なしにズカズカと家の扉の前まで歩いていき、インターフォンを鳴らす。

 ドタドタと足音が響く。

「あ、はーい」

「ただいまー、健吾」

 健吾には、やけに疲れたような様子の姉の姿が目に入った。

「何があったんですか?」

 気になって尋ねると、帰りの車の中で動画を未過ぎたのだとか。

「姉ちゃん、大丈夫?」

「ふ、平気よ。ベッドまで運んで欲しいな〜」

 へろへろと健吾に寄りかかる。

 それを受け止めると、すでにマネージャーは車まで戻ってしまっていた。




***


 タイトルの通りです。

 基本は一話で終わりなので、この話以外は無いと思います。

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