第2-2話 受容


アルドらは訳がわからないといった面持ちで顔を見合わせた。村長が力尽きたタイミングで現れた影を村長の力尽きた要因と思い込むのは無理もないことだった。影もとい少年は興奮して戦いの構えを解かない一行に頭を悩ませた。



「俺はただこの世界の暴走を止めたいだけだ。

さっきのその爺さんをしばらく放っておくしかないといったのは悪かったよ。寝泊りの場所を用意してやるからついて来い。」


一行が何か言いたげにするのを遮るように矢継ぎ早に話を進めた。


「どうせお前らはガタが来て戦えないんだろ?

俺に従うほかないと思うけどな」


「こないならそこの爺さんをお前らは広大な荒地でなすすべなく見殺しにするってことだ。よく考えな」


フィーネは「そんな言い方しなくても…」とか細い声で応じた。フィーネの想いは、兄と村長を失いたくないという優しさがゆえであったが、その優しさが決断を遅らせるところであった。魔物がいつ襲ってくるかわからない状況で迷いは命取りである。妹とは対照的に兄は納得したのか、「案内してくれ!」といった。兄もフィーネの想いを

知ってか、「裏切ったらわかってるよな?」と殺気だった。

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