第1-6 真意
村長の杖が光に包まれる。
爆風が巻き起こり、アルドとフィーナは腕で目を覆った。「捕まるんじゃ」。今にも足が浮きそうな、そのタイミングで杖から二本の光の束が二人を優しく包む。「フィーネ!今じゃ!」村長が叫ぶ。フィーナが防御魔法で結界を張った。
魔物が断末魔をあげる。
しかし、上空に回避した翼竜が、咆哮をあげる。
アルドは剣を持ち身構えたが、翼竜は急旋回して去っていった。アルドは剣を杖に、おぼつかない足取りで進もうとするも、その場に倒れ込んだ。
フィーネは結界魔法を維持しきれなくなりその場にへたり込む。
アルドは呟く
「でもさ、相手が能力を感知できる魔物ならどうするだ?村長。」
村長を見ると「ゼーゼー」と
息を切らし苦しんでいた。
フィーネ「おじいちゃん!どうしたの?」
村長「どうやら杖に宿っていた神の御加護
がなくなったようじゃ。先の巫女様のお告げを聞いたとき映像が途切れ途切れじゃったろ。それで思ったのじゃ。悪しきものから、干渉をうけていると。一時的に若返ることができたのも御加護あってのこと、そのお力がなくなり体が老化しはじめたことで、先の魔法の乱発に耐えられなくなってしまったのかもしれぬ」
村長が意識を失うと、杖に埋め込まれたプリズムが黒く濁り、辺りが闇に覆われた。
フィーネ「きゃっ!」
アルド「なんだ?」
影「バカな奴らだ。一人の見ず知らずの人間を助けたからこうなる。」
アルド「どういうことだ?」
影「自己紹介がまだだったな。私は神に仕えていた神官だ。」
フィーネ「おじいちゃん元に戻して!」
影「それはできんな。この者は神の力を一時的に借り若返った。いずれ、その代償を払うことになる。しばらくは動かんだろう」
アルド「俺たちは名医を探している。用がなければいくぞ」
影「貴様らの目的はなんだ?我の邪魔をするなら容赦はせんぞ。」
アルド「俺らは過去の痛みを和らげる秘薬を探している!それだけだ。」
影「一つ教えてやろう。痛みへの恐怖を忘れたとき、貴様らは欲望のまま振る舞う。我はその痛みによりこれから起こる惨劇を食い止める。一人の青年を助けたければ、その剣をよこすんだ。」
▶︎二話に続く
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