第11話 施設案内

ふう。なんだか当たり前のようにあるし、身分証作ったテーブルでも思ったけど、液晶、かはわからないがパネルのインターフェースがこの世界のコンピュータ標準なんかね。どういう歴史があったか知らないが、よくここまでできてるもんだ。元の世界は奇跡じゃなくて、再現性のある発展だったか。まあ、だから科学技術と言えるのか。あの人がいたからって技術はいくらでもあると思うが、誰かが代わりを果たしたのかね。

魔法はあるのに電力がエネルギーのベースになってるっぽいし、やっぱり汎用性が高いんだろうね。発電と蓄電がどの程度かにもよると思うが。この分だと通信機能も当然のようにあるんだろうし。身分証に通貨機能があるって時点で元の世界よりも進んだ技術がありそうだ。いや、技術じゃなくてコストと運用と、、移行の問題なのかな。

さて、なんか見たままのような気もするけと、念のため設備の説明見るか。入り口もそうだったが、奥に進むと明かりは勝手に付くようになっていた。センサー式か。

壁にあるパネルに近づく。ん?これ下を引っ張れる?おお。斜めにも平面にもできるようだ。普通に物理的な仕組みだ。椅子は移動して正面で操作する。キャスター付きだね。機能的なオフィスチェアレベルか。これがもし保障を受けられる人の一般的な施設だとすると、最低限度の文化的なってのは今の日本より高いんじゃないかね。こういう椅子そこそこの値段するし。


画面に触れると起動した。こっちは音声案内はないようだ。いきなりメニューが並んでる。音声案内のボタンはあるな。んー、でも画面操作でやっとくように言われたな。じゃこのままでいいか。あー、明日の朝、セルジさんが来るまでの間に言葉がわからなくても多少は操作できるようにか。むしろその時間しか本当の言葉がわからないとも言えるが。


トップメニューは4つだった。

施設案内

音声案内

教育娯楽

連絡通信


左下に項目一覧と書いてあった。これが本来のメニューか?

右下には日時が表示されてる。この辺は使ってたマシンのOSとあんまりイメージ変わらないな。


教育娯楽が一つの項目なのは、まあ、いいか。人によっては教育で人によっては娯楽だ。知識を得ることを指すなら。

しかし、部屋もそうだが、まったく異世界感がないな。SFって感じもしない。現実のちょっと先、もしくはありえた並行世界ぐらいの感覚だ。現実がSFに追いついてた部分があったからな。人間の想像力は実現するためにあるってね。

でも文明の歴史としてはこっちのが長いのか。いつからこのレベルだったかが気になるところだ。ソビエトの人がいたのが1000年前って言ってたか。逆にそこから1000年過ぎてもこの程度なのかって見方も出てきてしまうな。まあ、当時の情勢が元の世界と比べてどんな発展具合かもわかってないからなんとも言えないが、500年前?にはこの街ができてたことを考えるとどうなんだろうな。


気にはなるけど、先に施設案内を押す。

すると部屋の間取りが表示され、吹き出しで説明ボタンが出てきてる。

こういう表現もなんだか既視感があるな。転生者が作ったのかな。

ん?寝室かと思った部屋のさらに奥が寝室だったようだ。その手前、つまり隣の部屋はなんだ。仮想現実体験場?

席を立ち扉をあけようとする。


「あ、ここは引くのか。」


扉をあけるとさらに謎施設が2つあるっぽい。横には扉が2つあり、直進すれば寝室になるようだ。やっぱり二人分ということなのか。

戻って施設案内の説明を読むことにしよう。なんというか、魔法のある世界なのに、これなんかの映画でやってた仮想現実での動きをそのままただ支障ないようにしたような設備なのか?

アニメみたく、本当に神経に介入するような仕組みだったらコエーなぁとは思ってたが、これはこれでちと興ざめな設備に見えるのだが。魔法でどうにかするところじゃないのだろうか。

戻って仮想現実体験場の吹き出しを押してみる。


体の動きを伴う教育・娯楽内容を体験するための施設です。両腕、両足、腰回りをつなぎ、専用の視覚聴覚伝達装備、触覚のための手袋をつけて体験します。詳細は教育娯楽の項目から仮想現実を選択してください。"こちらから見る"


こちらから見るで見れるのかな。さらに押してみる。


体操

陸上

水上

空中

球技

格闘

操術

複合


なんとなくオリンピック競技を思い浮かべるが、空中とか操術ってなんだ?まあ陸上、水上ときたから空の競技なんだろうけど。操術って、馬術とか自転車とかか?こんな日本語あったっけ。

とりあえず押してみる。


初心者教育


おっとメニューは一つだけか。たぶん基礎教育終わらないと先に進めないタイプだ。

あれ、もしかして、これもう個人認証されてる?それともこの機器で記録されてるだけ?

まあ、ほどほどにとも言われたし、体使う系は後回しにしよう。

しかし、この中に娯楽要素があるのか。娯楽なら教育なしに始められると思うんだが、何を教育するんだろうな。


項目一覧を押して、トップメニューから改めて施設案内を押す。

入り口の説明を押すと、


部屋の入り口です。開けるには券鍵を金属板にかざしてください。扉が閉まると自動的に鍵がかかるため、券鍵を持って出入りしてください。非常時は受付までお願いします。


説明とともに、入り口から見た部屋の図と説明が吹き出しで出てくる。

確認したように右側は各種収納で、左側は浴室、トイレだな。厠って見えてるが。


浴室を押すとドアを開けた見た目で脱衣所、洗面所、ん?洗濯機があるようだ。見えてなかった。魔法的な洗浄とかないのか。浴槽はお湯につかっていいんだよな。


"体を洗う場所、水浴または温浴または蒸し風呂として使います。体を洗うことで清潔に保ち、適度な温度の浴槽に浸かることで、健康を維持するのに使う施設です。一般的に通常体温の+3度くらいのお湯に浸かると新陳代謝や老廃物の除去・排出を促することができるとされます。これ以上熱くしたり、逆に体温より冷ましたりすると支障がでる可能性があるため注意してください。また浴槽で溺れる事故もあるため中で寝てはいけません。

乾燥機能付き浴室のため洗濯物の乾燥に使えます。しかし、人が入っているときに乾燥機能は使ってはいけません。設備維持のため、換気扇は常に稼働させてください。"


説明が出たが入っていいようだ。他の説明より長いのは気のせいか?

戻って、次は一応トイレか。


厠。便を排出するのに使う施設。大小ともに座って行うこと。用を足した後は自動で水を流す。自動で流れない場合はてこの操作で水を流せる。

水で洗う装置を使い、紙で拭いて排泄箇所を清潔にすること。


おお、これはウォシュレットもあるな。水流すのもセンサー式らしい。てこ?、レバーかな?

乾かすのは手洗い場みたく風じゃ無理か。まあ用足すとこで風起こされるのなんかやだし、紙でいいな。立って小便はするなときたか。ま撥ねるからな。


戻って、次は調理場、はおいといて寝室か。


"寝台"と説明が2つ吹き出しにあった。やっぱり二人までを前提にした宿泊施設というか住居なのか。

寝心地はどんなものかは、風呂入った後でいいか。


あ、おれにとっては寝間着だけど、今は1日外歩いた格好だからな、なんかあるかな。

寝室にも収納があるからありそうだな。


立ち上がり寝室に向かう。一番奥は窓かな。右側は、なんか壁掛けテレビ的な感じに。これもさっきのパネルと同じかね。まあいい。収納というか、押し入れというか、クローゼットを開ける。ああ、バスローブ的な。ん?甚兵衛か?サイズが大小で2つずつあるようだ。日本語は定着してなくてもこういうのはあるんだな。今までみた施設も十分日本的な気はしてるが。でも寝間着だったら浴衣じゃないのかな?


ふと天井を見て思う。俺が住んでた部屋より天井高い気がするな。一階3メートル程度と換算してたけど、もしかしたらもう少しあるかも。通路の幅もそこそこあるし、扉もでかい気はするしな。身長変わってないとして俺の178cmはもちろん、2m超えても余裕そうだし。人基準の施設だと思うが、ライトノベルにあるあるの獣人とかエルフとかがいる世界なのかもまだわからんのだよなぁ。この高さはホビットとかドワーフにはいらないだろうし。

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