第25.5話
「
「小学生の時、学芸会で白雪姫をやったくらいです」
「へえ、それであの上手さか。やるじゃん」
「だから、あんたはどういう立ち位置なのよ」
お世辞にも
今、この場にいるのが自分だけなのは納得できなかった。
「ねえねえ、
「それは俺も気になる。実は元カレとか?」
ある意味で核心を付くような質問に
この場に
妹みたいに扱われてる幼馴染。
これが現実であることは
だが、それを口にしてしまえば周りからの評価がそれで固まってしまう。
そうなれば
「ゆうお兄ちゃんはどう思ってるか分からないですけど、ルナはゆうお兄ちゃんを特別な存在だと思ってますよ」
「あらあら。まるで
「だからすぐに感情移入できたんです。演じるっていうか、ゆうお兄ちゃんにアピールするみたいな」
体をもじもじさせながら、まるで照れ隠しのようにツインテールを揺らす。
実際には心はとても冷静だった。
興味の対象を自分から小説の主人公にすり替えてしまえばいい。
自分が
一つ違う点があるとすれば『
だからあえて二人を応援して、失恋したところで
そう決めたはずなのに、自分の知らないところで二人きりの時間を過ごしてるのかと考えると胸の奥がモヤモヤした。
「
「少なくとも
「なんだと!」
先輩二人のやり取りを見て、
お互いに言いたいことを言い合える関係。
自分と
やっぱり兄と妹のような関係しか築けないのかと考えてしまう。
「
「へ? あ、はい」
「自分の番が終わって気が抜けちゃったかしら?」
「あはは。そうですね。緊張が解けてちょっと力が入らないです」
「私ね、実は心の中で最初から
「そう……ですよね」
オーディションという展開になったこと、それが本当に実施されたこと自体が奇跡のようなものだ。
「でもね、
「
「はい!」
全てを見透かしたような部長の言葉に
これはきっと朗読のことだけじゃない。
最低な計画だという自覚はあるが、それでもこの気持ちは抑えられない。
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