第6話
僕の後ろで子犬のようにふるふると怯える
新入生とは思えないそのボリュームに同じ女子である
「
さっきまで
だが、その顔は少しひきつっている。
よほど
数秒の沈黙の後、
「
「……っ!」
「お、お前なに言って!」
その原因は
新学期早々、1年生と2年生の美少女と冴えない3年生の男子が騒がしくしてるんだ。
周りからの視線が集まって恥ずかしくて仕方がない。
「
「そ、それは……」
新入生とは思えない圧に押されて
怯える
「
「わかってるよぉ。でも、せっかくのチャンスだから
「…………」
笑顔なのに目が笑ってない。
こんな顔を見たのは十数年の付き合いの中で初めてかもしれない。
僕に対して怒ったり拗ねたりいろいろな表情を見せてくれたけど、女子同士ではこんな顔もするのかと少し恐くなった。
「
「……」
「僕の影響かはわからないけど前に好きな髪形の話はしたことがあったかも。な?
「何かの流れで髪形の話になって、僕がサイドテールが好きって言ったら次の日からその髪型になったよね」
「ふぅ~ん。ゆうお兄ちゃんはその意味をまったく理解せず、妹ポジの未来の正妻に問い詰められてるんだぁ?」
「おいおい。いつの間に問い詰められてるのが僕になったんだよ」
「じれったい二人は同罪だもん。まったく! ゆうお兄ちゃんはお兄ちゃんとしては完璧だけど恋愛経験がなさすぎ」
「誰のせいだと……」
腰に手を当てて堂々と立ち塞がる
「だから
僕が恋愛経験を積めなかった原因の一つにルナも関与していると本人は考えていないらしく、自分のペースで話を進めていく。
「ゆうお兄ちゃんに恋愛経験を積ませるべく、一時的に彼女になってもらえませんか?」
「ふぇ!?」
突然の提案に僕の後ろで震えてた
傍から見たら先輩をいびる後輩の図になってしまっていて大変によろしくない。
「おい
仮に両想いだったとしても出会ったばかりの後輩に勝手に交際を決められたら
迫りくるタイムリミットを味方にしてチョップで話を強引に終わらせようと手を振りかぶる。
「待って!!」
力いっぱい振り絞られた可愛らしい大声に周囲の人達の視線が一点に集まる。
思わぬところからの反撃に
「
肝心な部分はだいぶボリュームを落としていたので聞こえずらかったけど、僕の耳がおかしくなっていなければ『すき』と言っていた。
つまり僕らは両想いだったわけで、それが明らかになるきっかけをくれたのは不本意ながら
「だって、おめでとうゆうお兄ちゃん」
自称正妻の妹ポジの幼馴染はなぜか得意げな表情を浮かべている。
「本当はルナがゆうお兄ちゃんに恋愛経験を積ませてあげたかったんだけど、失恋が人を大きくするって言うじゃない? だから安心してフラれてね」
「おいこら」
「いたっ!」
「ゆうお兄ちゃん、照れ隠しに暴力を振るって許されるのは正妻だけだからね?」
「いや、暴力は誰に対してもダメだろ」
ただし生意気な妹ポジを除くと付け加えると
「あの……」
「ご、ごめん。
僕がいつまでも告白しなかったことにも原因があるとは言え、基本的に悪いのは
それでも兄ポジとしての習性が体に染みついてしまっているので
「いえ、大丈夫です。でも……」
言いかけて
もともと自分の気持ちを言葉にするのが苦手なタイプなのはわかっているので、
「
「僕は別に気にしな……ぐわっ!」
左足のすねに激痛が走る。
犯人はすぐにわかった。なぜなら犯行現場を目撃したからだ。
ツインテールを振り回しながら綺麗なローキックをかましてくれた。
「じゃあ、
「……
「ま、待って」
当事者である僕は何も意見を言わせてもらえないまま話がどんどん進んでいる。
僕が受験生になるからって恋人になるのを遠慮する必要はないし、僕が
つまり、僕と
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