第2話 白髪の少女


「ッーーー……??ここは……?」


広さは8畳程だろうか。扉も窓もなく、天井、床、そして四方全てが白で覆われた空間の中央には1つの丸い机と2人分の椅子だけがそこにはあった。


その異様な空間に戸惑いを隠せないでいた。


何故突然景色が変わったのだろう、と考えているとーー


「こんにちは、おにーさん」


ふと、後ろから声をかけられた。

振り返ってみるとそこには齢15ほどの白い髪を長く伸ばした女の子が立っていた。

その姿に目を見開き驚く。


……何故ならその姿は、自分が能力を使用し、女化していた時の姿と全く同じだったからだ。



「君は……誰だ?」


状況が飲み込めないまま、思ったことをそのまま伝える。

すると彼女は一瞬苦笑したかと思えば、にこりと微笑すると


「そうだね…強いて言うなら、僕は君だよ。レイジ」


「俺が……お前。いや…余計に訳がわからないぞ。まさか、二重人格とでもいいたいのか?」



「うーん……そうでもあるし、そうでないとも言えるかな」


「……わけがわからない」


この女の子の言ってることが理解できなかった。少なくとも自分は記憶喪失の頃はあったが、二重人格ではなかったはずだ。


「ま、そんなことは置いておいて、まずはこの世界について説明しようか」



「この世界…天国とか地獄のことか?」


俺がそう言うと、彼女は呆れたようにため息を吐く。


「そんなわけないでしょ。君はまだ生きてるよ。ただ、致命傷を受けて気絶してるだけ」


「そう、か……それならよかった」


それを聞いてほっと一安心する。



「……一応言っておくけど、今の君はかなり重症。治ってもすぐに目覚めるわけじゃないからね」


「……じゃあ、現実で目を覚ますまでの間、俺はこの空間で適当に暇を潰していればいいのか?」


俺が問いただすと、とたんに彼女の目が変わった


「……誰が『現実で目を覚ませる』、なんて言ったかな?」



「どういう…ことだ」

その目を見た俺は寒気を覚えた。


俺はその目を『知っている』


それは……殺す時の目だ。


「君をこの世界から出すつもりは無いよ」


彼女がそう言うと、掌から剣を取り出す。薔薇で彩られたその剣は、まるで水晶のような透明度で……武器としては不釣り合いのように思えた。



「おいおい…お前は俺なんだろ。自分を殺すつもりか?」


だが、油断はできない。

相手の正体がわからない上、どんな攻撃を、技を、魔術を使ってくるかもわからない。

だから相手の動きに注意してーー


そう思った次の瞬間だった。



「ーーー、え?」


世界が、天井と地面が反転した。


そして次に自分の視界に映った光景は


『首から上が無い自分の体だった』

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