第9話 お出かけ

日曜日、またしてもいつものショッピングセンターに来ていた。


しかしなぜこんなにこのショッピングセンターの登場率が高いかというのは、

ここの充実度がハンパないことと、単純にここ以外にいくとこないからという理由だ。簡単だろ?


「ふっ、俺もついにファッションセンスというのを身につけてしまったか」


今まで智樹に買ってもらったいくつかの服の中から、なんとなく選んだら、

すごく良い感じの組み合わせになったので、芽衣に聞いてみたら


『今日のコーデ神じゃね?』

(写真)


『自分で選んだの?』


『もちろん』


『100年に一度の奇跡かな?』


『もう二度と出来ないじゃねーか』


と、ベタ褒めされたのだ。


「あと3分か」


待ち合わせ場所は一際大きい木の近くもうすぐ彩葉も来るだろう


「えーと、ここであってるよね」


(は?)


待ち合わせ場所(と言っても大体反対側だが)に来たのは、

俺の元カノ——雪見綾沙——だった

綾沙は、彩葉にあらかじめ何となく聞かされていた今日の服装と一致していて、

あくまで予想だが、なんらかの関わりを持っていて、今日俺をはめたというのが

考えつく(と言うかそれ以外思いつかない)


「とりあえず、連絡だな」


『今どこ?』


送ると割とすぐに既読がつき、


『多分気づいたと思うんですけど、今日は、まあそういうことです』


そういうこと…まぁ聞かなくてもわかる。要ははめましたごめんなさい。

綾沙と遊んでください。ということだろうな。


声を掛けるべきか否か。正直そんなことをする義理なんてない、

しかし、何か理由があってこのような行為をしたのでは?と考えてしまう。


思考を巡らせながらすぐ横でぶつぶつと何かを言っている綾沙をチラっと見る


「うーん、それにしても男の子っぽい服装だなー。

それにもう待ち合わせの時間な、のに……」


と、ちょうど左右を見回そうとした彼女と目が合う。


そして一度スマホを見て(おそらく服装の説明を見たのだろう、というか俺はなぜ会うはずだった人に自分の服装を自慢してたんだろうか…恥ずかしくなってきた)


「どうして……蓮くんがいるの?」


「俺が聞きたい、彩葉に誘われていたんだが……」


「やっぱりそういうこと?

……姫野さんとは、良い感じなの?」


姫野……芽衣のことか

久しぶりにその苗字を聞き、一瞬誰かと考えるが、すぐに芽衣のことだとわかる


「良い感じ、とは?」


どういうことかわからず、何気ない思いでそう質問すると、


「姫野さんと付き合うためにっ、私と別れたんでしょっ!」


と一際大きな声で言われた。

どういうことだ?


「ともかく、いったん落ち着こう。

……えーと、とりあえずなんか飲みながら話そう。」


そう提案すると、綾沙は小さくうなずいた。







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