第4話 ちょっと君、黙ってもらえるかな?

「おい……誰だよ。いつも俺の座っている席に荷物だけおいて占拠したやつは」


大学の講義というものは、教室の中の席であれば自由席。どこに座っても何も言われない。しかしながら、大体一緒に進級していくのでみんなが座って落ち着く位置というものが進級しても大体決まっているのでそんなに変わらないものだが、たまに空気の読めないやつがいる。そう言う奴のおかげで生活リズムが崩れるのだ。


俺は智樹達とは学部が違うので一緒にはならず、昼などに集まっていると言う感じだ。智樹や、裕也とは高校も違うが、なぜ仲良くなったかと言うと、芽衣と裕也の彼女の美玲が仲良くなり、そこから広がっていったのだが、性格に難ありと言われていたことからネコを被っていると思っていたので、素で話しているのを見てかなり驚いた。


俺はきょろきょろとあたりを見回して、空いている席を探した。

いつも芽衣と座っているので、少なくとも2席は空いている所を探す。

大体は今、座って落ち着いている生徒さんから何人分か空いた席に座らないと、やばいことになる。なにがって、あとからその生徒さんのお友達が来て、その人の席に座ってたりでもしたら空気がやばくなるのだ。


暫く探して大きく空いている所を見つけたので、その中の無難なところに座る。


少しすると、芽衣がいつもと違う席にいる俺に気付いて顔を明るくする。


「いつものところに全然知らない人がいるからまた引きこもり始めたのかと思ったわよ」


「俺がきたときには既に埋まってたんだよ」


知り合いがいなくてストッパーが外れた芽衣が愚痴り出そうとしたとき、講義開始を知らせるチャイムが鳴った。


が、悪口モードに入った芽衣は止まらない。


「ねえねえ、この先生めっちゃハゲじゃない?」


 君、ちょっと黙っててくれないかな?


「く、くふふ……こっちに頭向けないでよぉ……」


講義が始まって30分経つのに、まだ今の講義の教授の頭が剥げているのにテキストを立てて顔を隠しながらゲラゲラ笑っている。めっちゃうざい。


「いい加減にしろ、お前の将来の旦那だっていつかはハゲるんだ、言わないでやれ」


「そうね」


言いつつも集中しようとしながらいまだに笑いが解けない芽衣はクスクス笑いそうなのを堪えている。


だがこの教授の授業がわかりやすいのと慣れてきたことからか気づいたら静かになっていた。


そして講義終了のチャイムが鳴って、やっと一限目が終了した。


やけに静かだと思い隣を見ると芽衣は寝ていた。その寝顔はとても綺麗で、イタズラしてやろうとか、そういう邪推な考えは生まれず、ただただ見惚れてしまっていた。


(黙っていればすげー綺麗なんだけどな…)


そんなことを思っていると芽衣はゆっくりと目を覚ました


「うぅん……。

う、嘘……講義おわちゃったの?」


「あ、あぁ」


それから申し訳なさそうにして


「ノート写させて」


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