第3話 クリスマスパーティー

あの後、クリボッチも嫌だなと思った俺は、クリスマスパーティーに参加することにしていた。


「…。って事で俺やっぱり参加したいんだがまだ空いてるか?」


『ふふ。やっぱりボッチが嫌になったんでしょ?』


「ちがう!っとも言い切れない、、」


『ははは。安心して、もちろん参加できるわ。でもクリスマスパーティーっていうのは名ばかりで本当はただの飲み会なんだけどそれでも来る?』


「そうなのか?逆に俺としてはそっちの方がいいしなぁ」


飲み会なら酒が入れば知らない人とも気楽に話せて楽だ。俺は思いの外いいクリスマスにできる気がして、年甲斐もなく少し心を弾ませていた。


『りょーかい!じゃあ、イブの日だからね?』


「おう」


またいつものように雑談を始めようとすると、芽衣の言葉がそんな考えを遮る


『あ!ねぇねぇ外見て!』


そう言われて俺は外に視線を向ける


外では——雪が降っていた——


『ホワイトクリスマスね』


「ちょっと早いけどな」


電話越しに窓を開ける音がする


俺も二階のワンルームの窓を開ける。

柔い粉雪が空をチラホラと舞っていた。街を包む雪はイルミネーションの光を反射して輝いていた。明るい光景を綺麗だと思ったのも久しく感じる。


「イルミネーションがよく似合ってる」


『本当ね』


イヤホンから風の音が聞こえた


『んっ!さむーい』


無邪気にはしゃぐ芽衣に、思わず口元が緩む。


「そうだな」


❄️❄️❄️


芽衣の所属するサークルは、駅前の居酒屋を貸し切ってクリスマスパーティー飲み会を開くのだから、その規模も大したものだ。


暖簾を潜り、敷居を跨いで店内へ入る。ここが今夜の宴会場だ。

集合時刻十分前の到着となったのだが店内にはかなりの人数が集まっており、既に店内は賑わっていた。


「あ!きたきた」


賑わう店内でもよく通る軽快な声に視線を向けると、芽衣が手を振っていた


「電話してたから久しぶりに感じないけど久しぶり」


「ほんとね、久しぶり」


俺はそのまま隣に着席する。


芽衣は1度席を離れ、片手にビールジョッキを持って帰ってきた。


「やっぱり最初はビールなんだな」


暗黙の了解のような縛りに苦笑いしながら呟く。

それを聞き芽衣がなぜかを説明しようとする


「ああ、それは……」


が、その言葉は代表らしき人がビールジョッキを掲げ立ったことで遮られる。


「皆さんはサンタクロースを信じていますか?私は信じます」


「今年は、と言うか今年も彼女をくださいとお願いしたので、その願いを叶えてあげようと思った人は私のところまで来てください」


皆が笑いながら代表の話を聞いている。くすくす笑っていても咎められない緩さは好きだ。恐らくこのサークルでは飲み会も立派なサークル活動なのだろう。



「では皆さん、ジョッキをご用意下さい!」


その掛け声の皆が勢いよくジョッキを掲げる。


「メリークリスマス!乾杯ー!」


居酒屋に「乾杯」という言葉が一斉に響き渡った。

それぞれのジョッキがテーブルの上を右往左往し、カチャンカチャンと乾杯の音を鳴らしていく。


宴が始まった


♦️♦️♦️


帰り道


クリスマスパーティー飲み会は終始楽しかった、最後の方は水を飲んでいたのでしっかりとした足取りで帰ることができている。


結局芽衣はみんなに呼ばれて席を変えてしまった。

やはり俺は少人数の方が性に合っているなと思いつつも、何人かの男女と仲良くなれたので、たまにはこう言うのも楽しいなと思っていた。


そう考えながら自宅に向かう蓮は、既に吹っ切れていた、つまり、まだ完全に割り切れてはいなかった

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