5:人類は夢の本質を本当に研究できているのか?
夢の研究というものは、実は古代ギリシャの時代からもある、古いものなのですが…
個人的に少し疑問に思っている点があります。
それは「夢研究の元となる“夢の記録”そのものが、果たして夢の“本質”を記録できているのか?」という疑問です。
夢は、不条理なものです。
現実世界の常識は通用せず、ストーリーに一貫性が無く、つじつまの合わないことも多々あり、連想ゲームのように次々と場面が移り変わっていくものです。
そして、そんな不可思議で脈絡の無い夢は、だいたいの場合「言語化するのが難しい」のです。
そんな「言葉にするのが難しい」夢を、人々は果たして本当の意味で「記録」できているのか…。
もしかしたら「言葉にしやすい、分かりやすい部分」だけを記録して、「説明するのが難しい、自分自身でも上手く理解できていない部分」は、記録するのを初めから諦めて、捨ててしまっているのではないかと…。
しかし個人的には、そんな「言語化するのが難しいほど不条理で不可思議な部分」にこそ、夢の本質、夢の魅力があるのではないかと思うのです。
(なので、自分の夢の記録「夜に見た夢の記録」では、そんな辻褄の合わない、デタラメで脈絡のない部分も含めて、何とか夢の内容を思い出せる限り記録していこうと試みているのですが…。)
夢の中の脈絡のない部分を言語化する(そもそも忘れずに覚えている)には、おそらくコツが要ります。
まず「夢の中の設定」を自分の中で一旦「受け入れる」ことです。
現実世界ではAはAでしかないのに、夢の中ではAはBでもあり、Cでもある…そんなデタラメさを、デタラメなまま一旦受け止めて、それをそのまま認識し、言葉にすることです。
「AがBなわけはない」と否定し、「こんなデタラメな夢はくだらない、とるに足りない」という意識を持ってしまうと、おそらくその夢は記憶から薄れて消えていってしまいます。
「夢の中だとAがBになったりCになったりもするんだー。おもしろーい」という意識・感覚を常日頃から持っていると、デタラメな夢でも忘れずに覚えている確率が高くなるのではないかと、自己の経験から感じています。
たとえば、「夜に見た夢の記録」第64話「遠足が豪雨で中断し、急に卒業することになる夢(https://kakuyomu.jp/works/1177354054896835230/episodes/16816410413920704678)」では、「遠足の終わり=卒業」という設定が夢の中に存在しています。
もちろん現実には、遠足が終わったからと言って、それが卒業を意味するはずがありません。
(しかもこの夢の中では「卒業=もう会社に行かなくて良いということ」という設定まであります。)
しかし、夢の中では、あくまでそういう設定なのであり、夢の中の自分はそれを「当然のこと」「この世界の常識」として認識しているのです。
そんな夢の中特有の「おかしな認識」さえ、おもしろがって記録することができるなら、より夢について深く知ることができるのではないかと思うのです。
ちなみに、デタラメな夢を記録する際のポイントとして、自分は「なぜか」「いつの間にか」「(夢の中では)」をよく使います。
現実ではあり得ないことだけれど、夢では「なぜか」そうなっている…それを「分からないものは分からないまま」とりあえず記録するのです。
また、夢の中ではコロコロ場面が転換します。
それまで屋外にいたはずなのに、気づくと建物の中にいた、などということはザラです。
その急激な場面転換を上手く記録していくためには「いつの間にか〇〇にいた」と、認識できない場面転換の瞬間を「はしょって」記録してくのがベストかと思うのです。
そして、夢には「夢の中だけの設定(現実とは違う形・摂理・関係性etc…)」がよく存在します。
それを現実と区別して記録するために「(夢の中では)」を使うのです。
ただ、これらのテクニックを駆使しても、デタラメな夢を言葉にするのは、なかなかに困難です。
そこにはどうしても、「自分の記憶の中にしかないものを他人に理解してもらうための“説明力”」が必要だからです。
現実に起きた物事でさえ、それを経験していない他人に説明するには、相応の言語能力が必要です。
ですので当然、デタラメで脈絡も無く意味も不明な夢を説明するには、さらに高度な言語能力が必要となることでしょう。
…実は、夢の記録をネットにUPし始めたのは「そんな難易度の高い“デタラメな夢の説明”を書いていけば、自然と説明力(言語能力)がUPするのではないか」という考えもあってのことだったりします。
実際スキルアップになっているかどうかは分かりませんが…。
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