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年が明けて、1月、まだ寒い頃。
この時期は、実業団駅伝や箱根駅伝など、駅伝シーズンのクライマックスだ。その最後を飾るのが、この都道府県対抗駅伝だ。
中学・高校・大学・実業団、それぞれの駅伝で名を残したオールスターゲームのようなものである。
一区は、愛知県の強豪、城北大の大学生が走る。おそらくは先頭集団に入っているであろう。
いろはとはエントリー発表後一度だけ、チャットでメッセージのやり取りをしたが、それっきりだった。お互い、自分の走りに集中していた。
東京のユニフォームはまたしても青だった。よく似合う青いユニフォームで、いろははゆっくりとアップをしているのを見つけた。いろはは注目選手なので、第一中継所のカメラも時々写しているようだった。それを意に介さず、淡々と過ごしている。そして、そのカメラが一瞬、華を捉えた。後から知ることになるのだが、ここで真木いろはのライバル筆頭格としてあげられていたのだった。
どのくらい近い距離で戦えるだろうか。
前の区間の順位によって当然ながらスタートがずれる。早く来て欲しい、というよりは、なるべく東京チームと近いところで来て欲しいというのが本音だった。
「京都、長野、長崎、愛知の選手はまずこちらに!」
どうやら、先頭集団にいるようだ。
東京は?そう思っていると次のチームも呼ばれる。
「宮城、東京、広島...」
華の思いがとどいたのだろうか、東京は愛知のすぐ2つ後ろから追ってくるようだ。
そして、中継ラインでいろはと目があった。
笑っていた。無邪気なかわいい笑顔だ。
たぶん、華も笑っていたと思う。
真木いろはが高校生として戦うラストレース。逃がすものか。最後まで、ついていってやる。そう、思ったのだった。
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