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インターハイが終わった。
燈真先輩は、男子5000、10位と入賞まであと一歩だった。
「まあけどなあ、決勝まで残れただけよかったよ」
「来年は越えますから」
斎藤は珍しく真剣な顔でさらっと言ってのけた。ほんとすごいやつ。
「おう、やってみろ。にしても、すげーな、二宮!ちゃんと見とけばよかった」
どうやら、燈真先輩は、召集場から見るつもりだったのに、召集場についたとたん、お腹がいたくなって、トイレの大行列に並んでたらしい。
それでも、何とかレース前には落ち着いていたから、すごい。レース自体も実力は存分に出せていた。素直にすごいな、と思う。
「帰ったら祝わないとなあ」
「それは先輩もですよ、みんなでお二人を労います!」
すかさず、優子がフォローする。
お祝いねえ…
華はそういうのがあまり得意じゃない。
別に祝われたくて走るわけでもないし、他人のために苦しい練習をしてるわけでもない。
もっといえば、勝ちたくて走ってるわけでもない。
ただ楽しくて走ってるのだ。
それを、頑張ったね、とか誉められたりするのは、なんと答えたらいいかわからない。そんな感じが苦手だった。
まわりは黙り込んでしまった華を、不思議そうに見つめていた。あわてて、
「また、駅伝シーズンも頑張りましょ」
というと、すぐ次にいっちゃう、だの、もう少し喜びに浸ればいいのに、だのと非難された。
が、とにもかくにも、楽しいインターハイであったなあ、としみじみと思うのだった。
競技場からの帰り際、少しはなれたところに、新海学園の一団が見えた。夕焼けの空にブルーのジャージが映える。
また、あの人と走りたい。
そう強く思ったのだった。
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