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それから少しして、インハイのエントリーが発表になった。東海大会はみんな一斉一発勝負だったけど、インハイは予選と決勝二回走る。その組分けが気になるところだったが、華は他の地区の選手とかほとんどしらない。
それでもひとり、知ってる人がいた。
新海学園三年、真木いろは。
前回のインハイの優勝者だ。今年も南関東大会をぶっちぎりの一位で通過してる。去年のインハイは動画でみたけど、二年生とは思えないダイナミックな走り方で、見てるこっちまで清々しい気分になってくる人だった。
予選は違う組になっていた。
そっか。決勝いけば、一緒に走るのか。
少し楽しみになってきた。
華は決勝に残るつもりでいた。
予選は三組あるから、上位1/3にはいればいい。東海大会は3位だから順当に行くと上位1/2で予選落ちだけど、前よりも調子は上がってきているし、ハードな練習もこなしてる。それに、地区によってレベルも違う。東海大会のレベルはさすがに関東関西には劣るが、低くもない。
「二宮、山田、ちょっといいか?」
部活前、エントリー表をながめてるところを、監督に呼ばれて体育教官室に燈真先輩ときた。
「アップのサポートだけど、知ってると思うけど、例年、経験のためにも後輩がつくようにしてる。燈真は斎藤でいいか?」
はいとかなんとかいって、あっさり決まる。
あー、そうか。インハイはことしは栃木だったっけ?全員はつれていけないから、アップのサポート要員だけつれてくのか。
「二宮は、2年だからなぁ、後輩でいったら、臼井とかか?同期でもいいけど、白石とか。」
うーん。わかんないなぁ。。。
黙ってしまってると、燈真先輩が
「白石でいいんじゃない?臼井さん、1人だけ1年生も心細いと思うし」
というので、優子が候補になった。ほんとは三池が一番気のおけない人なんだけど、まあ、そんなこともいえないし。
その日の部活の後、監督が斎藤と優子をよんだので、おそらくそういう話をしてるんだろうと思ってなんとなく落ち着かなかった。
待ってようか帰ろうか悩んでうだうだしてたら燈真先輩が男子の部室から出てきた。
「その辺のベンチでまってよーぜ」
「え、あ、はい」
気が利くのか、天然なのか。グッドタイミングだ。
「緊張するよなー、インハイ」
「そうですね。でもちょっと楽しみ」
「おれ、予選めちゃ速そうな組なんだよなー」
「先輩の弱気なの、めずらしいですね」
わたしは不思議とそういうところに関しては鈍い、というか、あんまきにならない。
変なとこばっかりきになる。
「りょーたもなぁ、一緒に出れたら心強かったのに。こう言ってもあいつは開き直って、甘えんなとかいってくるし、ほんと、かわいくねーのな」
「あの人なりの照れ隠しなんじゃないですか?」
「ほんとにそう思う?」
「さあ(笑)」
そんな軽口を叩いてると、二人が出てきた。
「あ、俺らをご指名されたかわいいお客様方じゃないですかー、どうしたんですか?」
「馬鹿、改めてよろしく頼むなって言うために待ってたんだろーが」
「あら、それはそれはご丁寧にありがとうございます。」
「腹立つ、帰るぞ」
「うえーい!華ちゃんも、よろしくねー」
仲いいなぁ。
「華、私も精一杯サポートするね」
「優子、、、ありがとう。引き受けてくれて。」
「ううんー、亮太も燈真先輩も、面白いし、帰り観光も出きるだろうし、むしろラッキーって思ってる(笑)」
「それはよかった」
「目標、聞いてもいい?」
「うん...8位入賞」
「ひゃーやっぱ決勝残るつもりなんだね。」
「図々しいかな?」
「ううん、そうこなくっちゃ!頑張って!」
「ありがとう」
まっすぐな応援の言葉とは裏腹に、やけに明るいテンションが、華は少し引っ掛かった。
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