⑫ 神様のありがたいお言葉
Side:せいら
目を開けたとき、目の前が真っ暗だった。
たしか、あのにっくきロイドを追ってきたら、反対にここに閉じ込められて。
ぶるぶると凍てつく空気が体中にささった。
何が小公女探偵。
情けないったらないわ。
寒い。
おなかも空いた。
……もしあたしがこのまま天に召されたら。
父さんも母さんも、夢っちもももぽんも……カレも。
少しは寂しがってくれるかしら?
どこかで扉の鍵をがちゃりと開く音がする。
この音を聴くより前に、あたしにはわかっていた。
そのパーティースーツに、さらさらの黒髪姿。
「あぁ、イエス様。阿弥陀如来様。アッラー様……? どの神様かわからないけど、せいらは感謝いたします。あたしの大好きな人にそのお姿を変えてお迎えに来てくださるなんて」
一瞬止まった神様は、あーはいはいと首元をかくと、あたしを抱き上げた。
「急いで出るぞ。こんなとこにいたら神経おかしくなる。……あの金髪やろーめ、覚えてろ」
抱き上げられたあたしは極楽(あるいは天国)への階段を一歩、また一歩へとのぼりながら、ぼんやりと思った。
神様のわりには、美しくない言葉遣いね……。
「お前に伝えたいことも、危うく伝えらんないとこだったぜ。冗談じゃないってんだ。……怖かったな。せいら」
ずるいわ。
神様ったら、カレのこんなスキルまで完コピしてくださるなんて。
いくら強気なあたしでも涙が……。
「ううっ……それで、神様。あたしに伝えたいという、そのありがたいお言葉を、今賜ってもよろしいでしょうか?」
「ん、あぁ、そうだな」
神々しいぬくもりの中、あたしはたしかにきいた。
「体型とか体重とか、気にするほどじゃないぜ、お前。首筋からバックにかけてのラインとか、かなりそそる」
「……」
あたしともあろうものが、神様に思いっきり罵倒してしまった。
「かみやんの、ばかーっ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます