第6話

「よくやったっチュ!クエストクリアっチュ!!」


「まぁ、楽勝だったな。」


 ダメージは負ったものの、誰も深傷を負わずに討伐することができた。


「次がこのクエストのボスみたいだな。グランピルーグだ。」


 次のクエストがこのレベルの最後のクエスト、グランピルーグの討伐だ。

 既にクリアしているプレイヤーはいるみたいだが、俺は俺のペースで進めるので気にしていない。


「サクラ、少し休むか?それか装備を整えたり回復を集めるか?」


「私は装備も素材も大丈夫。ローランは休む?」


「私は休まなくていいわ。」


「じゃあ行くか。」


「ちょっと休みたいっチュ!」


「おお、チュー吉を忘れてた。わかった。少し休もう。」


 そういえば、チュー吉は俺と会ってから休んでいなかったな。

 俺も張り切りすぎてたし、チュー吉の気持ちを考えていなかった事を反省した。

 俺たちは、すぐ近くの木の横に、座ってもたれかかった。

 暇になったのでサクラ事を少し聞いてみるか。


「なぁサクラ、プライベートの話をしていいか?」


「ええ、いいわよ。何か聞きたいの?」


「少し気になってな。普段何の仕事してるんだ?」


「システムエンジニアよ。アヤトは?」


「システムエジニアなのか。俺もこのゲームを始めるまではシステムエンジニアをやってたが、人間関係が辛くて辞めたんだわ。」


「あら、そうだったのね。人間関係で仕事を辞めちゃう人、多いからね。転職活動はしてるの?」


「してない。暫くはこのゲームをやって心身を休ませようと思ってる。」


「あら、面白い子ね。アヤトは何歳なの?」


「俺か?俺は26だ。サクラは何歳なんだ?」


「私は28よ。アヤトが年下だとは思わなかったわ。」


 俺も、まさかサクラが年上だとは思わなかった。

 しかも今は辞めたが、仕事も一緒だとは思わなかった。


「結構共通点ってあるもんだな。サクラは何でこのゲームをやろうと思ったんだ?」


「私、ゲームが趣味なの。面白そうだと思って、抽選に応募してみたら当たっちゃった。」


「そうか。俺も同じだ。たまたまゲーム屋の前を通った時にこのゲームを知って、抽選に応募してみたら当たったからやってみただけだ。」


「お待たせっチュ!いつでも行けるっチュ!!」


 …ちょっとは空気を読んでくれ。

 そう思ったが、落ち落ち休んでもいられない。


「アヤト、どうしたっチュ?」


「いいや、何でもない。行くか。」


「ええ、行きましょう。」


 俺は、もう少しサクラの事を知りたいと思っていたが、まあしょうがない。

 クエストを受注し、グランピルーグの討伐へ向かった。

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