第5話

 このゲームをずっと一人でやろうと思っていたが、パーティを組んだ方が効率も良くなるだろう。

 そう考えた俺は、サクラとチームを組むことを提案した。


「なぁサクラ、俺とチームを組まないか?」


「いいわよ!ローランもいいよね?」


「ええ、いいわ。」 

 

「この猫とはチームを組みたくないっチュ!!」


「多数決で、決まりだな。確か設定からチームを組むで…っと。」

 

 チュー吉の反対意見を押し切り、俺はサクラとチームを組んだ。

 チームを組むのは少し抵抗があったが、悪い人間ではなさそうだし、大丈夫だろう。

 

「次のクエスト、どうするかな。」 

 

「アヤトが行きたいクエストがなければ、ピルーグ10頭の討伐でいい?」

 

「ああ、いいぞ。」

 

 ピルーグは討伐したことがあるが、クエストでは討伐をしたことがなかったので、俺は承諾した。


「じゃあ、クエスト受注っと。って、ええええ!!!??」


「あら、驚かせちゃってごめんね!」


 クエストを受注した際にレベルが表示される。

 俺のレベルは2だったが、サクラのレベルが12だった。


「この辺でレベル上げの効率がいいところってどこかあるか?」


 このレベルの高さに驚き、思わず聞いてしまった。


「この辺だと…北へ200m行った先の森の中が効率が良かったわ!」


 俺の行っていた所の先にある森か。

 負けたくないからこっそり練習しよう。


「ありがとう。とりあえずピルーグの討伐に行こう。」


「行くっチュ!」


 場所は南へ100m行った先の砂利が多い平原だ。


「おっ。いたいた。奇襲をかけるぞ。」


「いくっチュ!」


「ええ!」


 俺は大剣を振り翳し、ピルーグの頭に一撃を入れた。

 その後、チュー吉の噛みつき、サクラの両手剣の連撃とローランの引っ掻きで1匹を抵抗もさせずに討伐した。


「あと9匹だが、少し面倒臭いことになったな。」


 その残り9匹が、全員こちらを向いているのである。

 と思った刹那、一斉にこちらに襲いかかってきた。


「くそっ。二撃で倒せるが、如何せん大剣は重いな。」


「きゃあっ!」


 サクラが悲鳴を上げた。

 レベルが高いとはいえ、初期装備のままじゃないか。


「チュー吉、こっちは大丈夫だから、サクラの援護を頼む。」


「了解っチュ!」


 サクラが薬草で回復している間に、チュー吉とローランがサクラを守りつつ攻撃している。


「ローラン、チュー吉、ありがとう!油断しちゃったけど、残りも全部倒すわよ!」


「ええ、私たちのチームワークを魅せてやりましょう!」


「いくっチュ!」


 あっちは大丈夫そうだな。

 こっちは3匹倒せた。向こうの援護に行こう。


「待たせたな。あと5匹、さっさと倒しちまおう。」


ーー犠牲を出さずに、ピルーグを討伐することが出来た。

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