第2話
隙間なく敷き詰められた石畳の上を歩き、街を散策していると、意外にも宿が多いことに気が付く。
「なあチュー吉、この街、以外に宿が多いな。」
「そうっチュ! この街は始まりの街! アヤト以外のプレイヤーも集まるから宿が多いっチュ!」
「プレイヤーって、何人いるんだ?」
「10万人いるっチュ! でも皆一斉にログインはしてないから、今いるプレイヤーの数はわからないっチュ!」
大体10万人か。
このゲームを制覇したいとは思っているが、壁は高そうだ。
チュー吉と他愛もない話をして歩いていると、横には武器屋があることに気がついた。
屋根の下あたりの壁面には、大きな盾の中に、剣、銃、素手、書物が浮き出ているように彫られている。
「ここが武具屋か。入ってみるか。」
「ちょっと待ってっチュ! 忘れてたっチュ! アヤトはどの戦い方を選ぶっチュ?」
--戦い方か。
剣、銃、魔法、素手から選ぶんだったな。
「他のプレイヤーの戦い方の比率はどれくらいだ?」
「調べるっチュ!」
剣か銃を使って戦うスタイルが多いと思うが、どうなんだろうか。
「剣が40%、銃も40%、魔法は18%、素手が2%っチュ!」
素手が2%もいる事に驚いた。結構いるもんだな。
素手で敵を倒せるのだろうか。
オーソドックスだしあまり人とは被りたくないが、仕方がない。
「剣で頼む。」
「わかっチュ!」
俺は剣を選ぶ事にした。
接近戦を余儀なくされるが、銃のように弾切れの心配がなく、魔法使いのようにMPやパーティの体力を気にしながら戦うわけでもなく、--素手とかいう訳のわからない戦い方をするわけでもない。
「アヤト! 剣を選んだから最初の武器を渡すっチュ! 右手を広げて前に出すっチュ!」
そりゃそうだ。
武器なしでどうやって敵を倒してお金や素材を手に入れるのだろうか。
俺の手の平の上で、オブジェクトが生成されていく。
手の平の上に現れたのは、刃渡り約10cm程度の、短いナイフだった。
「ありがとう。こいつで敵を倒して、素材と金を手に入れて、また武器屋に来よう。」
「因みにチュー吉も少しは戦えるから、アヤトを援護するっチュ!」
--戦える案内役か。悪くないだろう。
「アヤト! 最初はこの街の外れの草原に行くっチュ! そのナイフでも倒せる敵が多いっチュからね!」
「おう。最速でもっといい武器を手に入れるぞ。」
現実世界から離れ、モチベーションが上がってきた。
俺はこの世界で生きていく。そう心に誓い、街から北へ100m離れた草原へ向かった。
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