第112話 みんな大好き夏休み!
ヒロイン振り返り
・針霧桐葉(はりきりきりは)【ホーネット】亜麻色のロングヘアーで蜂蜜色の瞳
一人称:ボク 二人称:キミ 主人公称:ハニー
・内峰美稲(ないみねみいな)【リビルディング】黒髪ハーフアップ
一人称:私 二人称:貴方 主人公称:ハニー君
・枝幸詩冴(えさししさえ)【オペレーション】白髪ツインテール赤瞳
一人称:シサエ 二人称:●●ちゃん 主人公称:ハニーちゃん
・有馬真理愛(ありままりあ)【念写】青髪(濡羽色)シニヨン
一人称:私 二人称:貴方 主人公称:ハニーさん
・恋舞舞恋(こいまいまいこ)【サイコメトリー】栗毛ワンサイドアップ
一人称:わたし 二人称:あなた 主人公称:ハニーくん
・山見麻弥(やまみまや)【探知】黒髪ツーサイドアップ
一人称:私 二人称:貴方 主人公称:ハニーさん
・三又茉美(みつまたまつみ)【ヒーリング】茶髪サイドテール
一人称:あたし 二人称:あんた 主人公称:育雄
・龍崎早百合(りゅうさきさゆり)24歳 黒髪ロングヘアー
一人称:私 二人称:貴君 主人公称:奥井ハニー育雄
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八月一日。
夏休み初日の朝。
我が家は大変賑やかなことになっていた。
「というわけで伊集院とかいう人権無き性犯罪者のせいでグダグダになっちゃったっすけど夏休みの予定を具体的に決めるっす! どんどんぱふぱふっす!」
「それはいいけどお前はなんでビキニ姿なんだよ?」
ツインテールの髪の毛や肌と同じ白色のマイクロビキニ姿で、詩冴は真紅の目を点にして小首を傾げた。
「ほえ? 海に行く前日って普通、水着で過ごさないっすか?」
「男子小学生か!?」
その瞬間、俺の脳裏には、山の中で【かめは●波】の練習をする詩冴の姿が映った。
「あ、うん、そういえばお前男子小学生だったな。俺が悪かったよ」
「なんすかなんすか今のなんすか!? いまの絶対シサエをバカにした感じだったっすよ! ていうかシサエは花も恥じらう巨乳美少女っすよ! 何をやっても経済効果が生まれてしまう女子高生っすよ! あらゆるコンテンツはタグに女子高生をつけるだけで市場価値が上がるんすよ!」
「腕で胸を寄せて上げるなウィンクをするな、花も恥じらう子はお前みたいなスケベ魔人じゃないんだよ。舞恋と美稲を見習え」
美稲は嬉しそうに品よく微笑んだ。
舞恋は針のむしろに座らされたようにうしろめたい顔で眉間にしわを寄せた。
「どうした舞恋? 冷房つよかったか?」
「う、ううん、なんでもない、よ……ッ」
痛みに耐えるように歯を食いしばり、舞恋の目尻にはキラリと涙が浮かんだ。
「それで実際どうするっすか? ハニーちゃんのテレポートがあればホテルを取る必要ないっすけど。現地のホテルに泊まらないとムードが出ないっすよね?」
「海ってことは沖縄とか? 熱海なら温泉にも入れるよね」
美稲に続けて、桐葉がはちみつ色の瞳を怪しく色欲に光らせた。
「温泉ならボクはハニーと入れるように部屋に大きなお風呂が入っているホテルがいいなぁ」
「入らないからな!」
「そんな、水着着用でもダメでしょうか? ハニーさんに喜んでもらおうと、詩冴さんいちおしの水着を選んだのですが」
「よし詩冴、今から俺と戦争だ」
「シサエが勝ったら第三夫人の座をもらうっすよ」
「はいストップ」
俺と詩冴が火花を散らしてにらみ合ったところで、ジト目の茉美が手を挙げた。
「凄い今さらなんだけどさ、なんで誰もこの異常空間にツッコまないの?」
俺、桐葉、美稲、詩冴、真理愛、舞恋、麻弥は互いに顔を見合わせた。
――異常って、何がだ?
「おかしいでしょ! 女子7人男子1人ってどんだけ男女比かたよっているのよ!? ここはあんたのハーレムかっての! みんなも男友達とかいないわけ!?」
6人同時に視線を逸らした。
「「「「「「いや、友達以前にボッチだったから」」」」」」
――ですよねぇ……。
基本、超能力者はひとつの学校につき数人。
そして、坂東亮悟のようなボス気質でなければ、周囲と距離ができてしまう子が多い。
同じ超能力者という環境である異能学園に来て初めて友達ができたという人も、珍しくないだろう。
なのに、茉美はきょとん顔だ。
「え、あ、なんかごめん。あたし知らなくって」
口に手を当て視線を泳がせ、サイドテールをなでながら、茉美は珍しく狼狽した。
「そういうお前はどうだったんだよ?」
「あたし? そりゃああたしはモテモテだったわよ。前の高校じゃ引く手あまたで放課後の予定を切らしたことがないんだから」
「おぉ、意外だな」
手でピンとサイドテールをはじくと、自慢げに大きな胸を張ってから、茉美は探偵のように額を指で叩いた。
「え~っと確か……」
「てめぇが総番か。俺は南校を仕切っているモンだ。ツラ貸しな」
「おめぇがうちの後輩をかわいがってくれたオンナか。死ぬ覚悟できてるかぁ?」
「三又さんの巨乳に全力ストレートです!」
「アニキの仇ぃいいいいいいいい!」
「恨みはないが、仕事なんでね。恨むなら、自分の若さを恨むんだな」
「おっ、おねぇえ様のヴァージンはこのワタクシめがジュルリ!」
「悪いな。あんたを殺せば俺は組に入れるんだ。おとなしく死んでくれぇ!」
「我は求道者。強き者を求める」
「キミキャワイイネェ! どうだいうちの事務所でグラビアクイーンに!」
「これから皆様に、デスゲームをしていただきます」
「手違いで殺してしまいました。お詫びに異世界チートを、え、いらない?」
「うっほー、Fカップ美少女発見っすー♪」
「最後のは詩冴じゃねぇか!」
「ハニー君、ツッコむところはそこじゃないよ」
「ツッコミにくいなぁ……」
舞恋が悩まし気に眉をひそめた。
「まぁいいわよ。育雄なら変なことする可能性は低いし」
「ゼロだぞ」
「あたしは京都に行ってみたいわね。麻弥は?」
「和歌山県でパンダを見たいのです」
「そうなると、行き先は沖縄、京都、和歌山、熱海ですね。回る順番はどう致しますか?」
「いやお前ら行き先バラバラ過ぎだろ!」
俺が両手で空手チョップのジェスチャーを作ると、女性陣は一斉に疑問符を頭上に浮かべた。
「いや、だってハニーがいるし」
「俺はタクシーか!?」
「ハニーちゃんで慣れちゃうともう移動に交通機関を使うのがバカらしくなっちゃうんすよねぇ」
「おいこらおい」
「なんていうかハニーってあれだよね。ゲームの一度行った場所に一瞬で行けるやつ」
「ポート機能か!」
俺が空手チョップポーズを取ると、桐葉はわざとおでこを突き出して、右手にデコチューをしてきた。
きゅっと目をつぶるのが可愛い。
「……おい、まさかとは思うがお前、俺にデコチューするためにわざとからかったんじゃないだろうな?」
「え~、そんなことないよぉ~」
言葉とは裏腹に、桐葉は口元に手を当てて、蠱惑的な笑みを浮かべる。
でも、その姿が小悪魔的に可愛いから困る。
だけど、彼氏として、未来の夫として、たまにはびしっと叱らなくては。
「そんな可愛い顔しても誤魔化されないぞ」
うわめづかいにお目めをパチクリさせる桐葉。
「誤魔化されない?」
「誤魔化されません」
胸を突き出して、亜麻色のロングヘアーを指に絡めながら、両手を上乳に当てて。
「本当に誤魔化されない?」
「ご、誤魔化されないぞ」
長い髪を上乳から下乳に回して吊り上げ、ワンピースの襟から深い谷間を見せながら。
「どうしても誤魔化されない?」
「……誤魔化されないやい」
「どうしてハニーは体育座りなのかな?」
「お、男には無性に体育座りをしたくなる時があるんだよ」
「真理愛ちゃん、いまハニーちゃんが考えていることを念写するっす!」
「やめるんだ真理愛! お前はもう他人の言いなりにならないんだろ!?」
「わかりました。では折衷案として私だけがこっそりと見ます」
「真理愛ぁあああああああああああああ!」
絶叫の陰で、茉美が美稲と舞恋の肩を抱き寄せていた。
「バカはほっといてあたしらだけで決めましょ」
「そうだね」
「え、いいのかな?」
こうして、俺の尊厳という尊すぎる犠牲の果て、最初の目的地は沖縄に決まった。
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本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。
みなさんのおかげで
フォロワー11289人 287万7775PV ♥41307 ★5613
達成です。重ねてありがとうございます。
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