第113話 ライドンクイーン

●キャラ振り返り5 恋舞舞恋(こいまいまいこ) 

 本作のヒロイン。

 触れたモノの情報、過去などを読み取れる【サイコメトリー】の使い手。

 レベルはかなり高く、触れなくても目で見るだけで相手の名前と超能力を知ることができる。

 前の学校では、触ると心を読まれるからと周囲から拒絶されて生きてきた。

 そのため、舞恋のことを信用して、自らサイコメトリーをされる奥井育雄のことが好きになる。

 優しく温和な性格で明るい女の子。だけど男子が苦手なのと恋愛にオクテなので本作では内気な言動が目立つ。

 驚くと「ふゃっ」という声を上げる。Gカップの巨乳の持ち主だがそのことを恥ずかしがっていてFカップのブラを無理やりつけている。

 育雄の前ではずかしめられることが多い不幸な子。

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「お! き! な! わぁああああああああああああああっす!」


 メラニン色素をメラメラと煽る灼熱の太陽の下、詩冴が声高らかに沖縄愛を叫びながら、葉っぱの大きな亜熱帯植物が植えられた駅前広場を走った。


 俺らと同じ観光客だろう。

 自動追尾の旅行鞄を連れた人たちの姿が目立つ。


「本当に一瞬で沖縄についちゃった。ハニー君のテレポートって便利だね」

「流石に何度か中継したけどな」


 美稲は感心してくれるが、俺のテレポート範囲では、東京から沖縄までは無理だった。

 なので、中継地点を挟み、何度かテレポートして沖縄の駅に到着した。


「それにしても、思ったほど暑くないな。沖縄って日本最南端だろ?」


 太陽の光は、東京の倍は強い。

 出発前に塗ったSPF50の日焼け止めクリームが、頼りなく思えてしまう。

 なのに、肌で感じる暑さは、せいぜい初夏程度だ。


 すると、桐葉がちょっと先生口調で説明してくれた。


「沖縄は県庁所在地こそ最南端だけど周囲を海に囲まれた島だからね。東京の夏は38度ぐらいいくけど沖縄の夏は最高33度。県庁所在地の最高気温記録は北海道よりも低いんだよ」


「北海道より低いのかよ!?」


「そうだよ。日本の夏で一番暑いのは関東と四国、九州かな。ちなみに【県庁所在地】は最南端だけど、日本最南端の島の沖ノ鳥島は東京都の所属だから最南端の【都道府県】は東京になるんだよ。クイズ問題でよく出るひっかけだから気を付けてね」

「桐葉のいた中学校ってそんなこと勉強したのか?」


「? いや、小学校の地理資料集に載っていたよ?」


 流石は日本一勉強のできる高校生。記憶力がおかしい。


「ふゃぁ……それでも暑いよぉ。桐葉は涼しそうだね」

「舞恋は暑いの苦手? ボクはハチだからね。40度でも余裕だよ」

「じゃあ何でそんな露出度の高い服を着ているんだよ?」

「ハニーへのサービスだよ♪」

「た、谷間を見せるな胸を寄せて上げるな」

「うぅ、溶けそう……」


 帽子を被ってなお、ゆだった顔で舞恋が弱音を吐くと、桐葉がキンキンに冷えたペットボトルを首に押し当てた。


「そんな恰好しているからだよ。みんなノースリーブなのに舞恋だけ半袖なんだもん」

「うぅん、そぉなんだけど……恥ずかしくて」


 桐葉から受け取ったシークワーサージュースを手に、舞恋は視線を逸らした。

 視線の先には、組んだ両手を上げて、背筋を伸ばしている茉美がいた。


「さぁって、じゃあさっそく海に、ん、どうしたの?」


 両手を頭の後ろで組み、つるりとむき出した肩と、わきの下を気風よく見せつける茉美に、舞恋は動揺した。


「ふゃっ!? なんでもないよ!」


 茉美がタイトなノースリーブ姿な一方で、舞恋はゆったりとした半袖のワンピースだ。


 ――なるほど、胸の大きさが目立たないようにしつつワキを見せたくないわけか。


 流石は我らが羞恥心ナンバーワンだと、俺は舞恋の女子力に感心した。


 ――それに引き換え。


「シーサー発見っす! 沖縄の守護神にライドオンっす!」


 荒ぶるタカのポーズで大ジャンプ。

 駅前のシーサー像の背に、お尻から着地した詩冴は、周囲の人目もはばからず、俺に手を振って来る。


「さぁハニーちゃん! シサエを撮影するっす! 北海道と沖縄を制覇したシサエはライドンクイーンになるんす!」

「罰が当たるぞ」


 俺はジト目でツッコんだ。

 美稲と茉美は全力で他人のフリをしていた。

 そして麻弥はガジュマルの木に話しかけていた。それから子供の頭をなでたり握手をするパントマイムをしていた。


 あれはなんの遊びだろう?



   ◆



「ほい到着。ここが早百合局長の教えてくれた穴場だな」


 駅前広場から俺らがテレポートしたのは、観光客用の海辺ではなかった。

 その海辺から数キロ離れた場所の、とある小島の浜辺だ。


「はい。早百合局長の話では県有地ですが立ち入り禁止ではなく、ですが船でないと来られないので誰もいない、まさにプライベートビーチのような場所だそうです」

「探知をしたけどこの島にはわたしたち以外誰もいないのです」

「そりゃよかった。それで麻弥、何を持っているんだ?」

「さっき赤毛の子供から貰ったのです」


 麻弥が持っていたのは、昔の古いお金のようだった。

 桐葉が珍しそうにまじまじと眺めた。


「大世通宝(たいせいつうほう)、沖縄が琉球王国だった頃に流通していたお金だね」

「初対面でくれるなんてよっぽど気に入られたんだな」

「宝物にするのです」


 言って、麻弥はポケットから取り出したリボンを貨幣の穴に通すと、髪に結んだ。

 こうしていると、オシャレなアクセサリーに見えなくもない。


「ちょっとちょっともう何をしているっすか? これからみんな大好き水着タイムっすよ! じゃあみんな、水着は下に着てきたっすよね?」


 いつも以上にテンションを上げる詩冴は、もうウッキウキのワックワクといった様子だった。


 俺は自分の服だけテレポートして、一瞬で海パン姿になった。


「というわけでまずはシサエからいくっすよん!」


 言うや否や、詩冴は手際よくキャミソールとホットパンツを脱ぎ捨てると、白のビキニ姿になった。


 前にリビングで見せたのとは、またデザインが違う。


 詩冴は、性格はともかく外見は美少女でスタイルも抜群なので、不覚にもドキリとしてしまった。


「え、普通こういう時ってどこかで着替えてから出てくるもんじゃないのか?」

「ふっ、わかっていないっすねハニーちゃん」


 評論家気取りの表情で、詩冴はすばやく俺の隣に回り込むと肩に手を置いて座った。意味はわからないが、促されるまま、俺も砂浜に腰を下ろした。


 太陽の光に炙られた砂が、海パン越しでも熱い。


「おい、尻が熱いぞ」

「シサエみたいに脱いだ服の上に座るんす」


 小声でアドバイスをしてから、詩冴は司会者のように声を張り上げた。


「じゃあひとりずつハニーちゃんの前に出て水着を披露するっすよ♪」

「OK。見てハニー。これがボクの選んだ水着だよ」


 言いながら、桐葉は服を脱ぎ始めたのだが、その様子に俺は目を見開いた。


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 本作、【スクール下克上 ボッチが政府に呼び出されたらリア充になりました】を読んでくれてありがとうございます。

 みなさんのおかげで

 フォロワー11311人 289万4389PV ♥41523 ★5617

 気が付けば★5000以上 2000000PV以上 ♥40000以上

 達成です。重ねてありがとうございます。

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