第38話考え事は話と逸れることもある
街に帰り、報酬を貰うとなんと55,000マル!
状態が良いからと言う事で色を付けてくれたらしい。
採り方がとても丁寧だと褒められた。
えへへっ。
あと、圧倒的に量が多いのも良かったみたい。
薬師が泣いて喜ぶって言われたけど、本当に喜ぶ方で合ってる?
大丈夫なら良いんだけど。
まぁ、ぶっちゃけやり過ぎ感は否めないけど後悔はしていない。
そうやって初めての稼ぎに目を輝かせた私だけど、隣でもっと貰ってる人が居る。
そう、もちろんジーンだ。
私が採取している間に魔物を小型5体、中型3体倒していたらしい。
ザシュッって音が聞こえていたけど、そんなに居たんだ…。
ヤバい、私1人で採取はやはり難しそうだ。
特に採取に夢中になって気付けない、なんて羽目になったら終わりだ。
「そういえば例の件なんですが…」
アンさんが言い辛そうにチラリと私を見た。
…なるほど、私にあまり聞かせたくない話なのか。
「私、席外しましょうか?」
「1人じゃ危ない」
「1人にさせられません」
「あ、はい」
同時に却下された。
けど、じゃあどう話すのだろうか?
「アン、例の件ってなんだ?」
「…えっとその…ジーンさんと組んだパーティの件の事です」
「あぁ、あいつらか。それがどうしたんだ?」
アンさんは申し訳なさそうに眉をハの字にさせた。
「申し訳ありません。処分の為に捕縛しようとしたのですが、逃げられてしまいました。如何やらアレ達以外に手引きをした者が居るようです」
よく分からないけど、処分とかアレとかアンさんが辛辣に言うようなパーティなのだから、何かジーンにやらかした人達なのだろう。
チラリとジーンの様子を伺うと、特に如何とも思ってなさげな…いや、これ絶対思ってない。
だってなんか、ふーん、それで?みたいな雰囲気してるもん。
顔に出てないけど、全然気にしてない。
偶に感じていたけど、多分ジーンは自分に関してあまり興味を持たない。
自分に関心がない。
それはきっと黒い髪と目のせいで悪意を持たれ過ぎた為、自分を蔑ろにする事によって自分の心を守っていたのだろう。
仕方ない、自分は不吉の色だから、と諦めて、そうしなくてはならないほど彼は傷付き過ぎた。
…もっとジーンが自分に優しく出来れば良いのに。
そう思うが、それは多分周りがもっとジーンを知る必要があるのだろう。
ジーンがどんなに優しくて、格好良くて、私と同じくらい食いしん坊で、天然タラシで…ってあんまり褒め言葉じゃないような?
と、とにかく、髪や目の色とか関係ないと言ってくれる人が必要なんだ!
アンさんやギルドマスター、ランちゃんとか、もちろん私もそう言うし、思っているけど、ジーンにはどこか届いていないから、希望が必要なんだよ。
あー、なんか色々ぐちゃぐちゃに考えているけど、最終的にフードなんか被らずに笑えると良いなと思います!
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