第39話報・連・相は大切です
私がそうぐるぐると考えているうちに、アンさんがジーンをジト目で見ていた。
ジーンは無視していたが、しきれなかったようで溜め息を吐いた。
「…なんだ?」
「…ジーンさん。大して興味なさげですけど、十分に注意して下さいよ?アレ達が逆恨みしないとは限りませんからね?そしたら危険なんですからね!
ヒヨリちゃんが!!」
私かっ!!
「細心の注意をしよう」
確かに一緒に居る私も危ないかもだけど、ジーンは自分も気を付けて!!
というか、逆恨みとか、え、何したの?
パーティがしたのか、ジーンがしたのかは分からないけど気になる。
「えっと、私はその人達の事聞かない方が良いんでしょうか?大丈夫なら私も気を付けられるし聞きたいんですけど…」
アンさんが何か言う前に、ジーンがさらりと応えてくれた。
「あぁ、ヒヨリが治してくれた毒を俺に盛った奴らだ」
えぇーっ!?
あ、そういえば苦しんでた理由とか聞いてなかった。
え、パーティって事はジーンってば嵌められたんじゃない?
うわー、許せない!
さらりと爆弾を落とした無表情のジーンと、その爆弾に怒りを覚えた膨れっ面の私に慌てたのはアンさん。
「ちょっ、ちょっと待って下さい!ヒヨリちゃん、毒の事知ってたんですか!?というか、え、治したってどういう??」
「ヒヨリと出会った時、毒を受けて動けなくてな。その時ヒヨリが解毒薬をくれて助かったんだ」
「さらりと話す内容じゃないですからね!?あと毒ってなんですか!聞いてませんよ!?報告はちゃんとして下さい!それとよく死に掛けたのに興味を無くせますね!?ヒヨリちゃんは素晴らしいです、可愛いです、ハスハスさせて下さい!!」
「どさくさに紛れて何言ってるんだ、断る」
「ジーンの返事は報告について了承の言葉しか受け付けません。ハスハスについてはヒヨリちゃんに」
「嫌です」
「言い切る前にきっぱり断られた!?」
多分困惑しているだろうアンさんから離れると、アンさんは悲壮な顔をしながら、ガックリと膝をついた。
暫くして少し落ち着いたのか、アンさんはもうどうせなら、と改めて最初から詳しく話を聞かせてくれた。
感想は
は?
頭おかしいんじゃない?
だった。
だって自分の思い通りにならないからって殺すとかないでしょ?
しかもジーンの話を聞いて調査した所、何人か行方不明者が居る事が発覚したらしい。
常習犯とか…。
そりゃ逃しちゃった事に申し訳なく思うのも分かる。
アンさんが逃した訳じゃないけど、組織の1人として今まで気付けなかった事を悔いているのだろう。
行方不明者はきっと…そういう事だろうし…。
あー、もう!
ジーンに何かしようと来たら埋めてやる!!
丁度土は鞄にたっぷり入ってるし。
にやりと黒い笑みを浮かべていると不意に視線を感じた。
見てみると、ジーンとアンさんが微笑ましげに見ていた。
え、待って。
私、黒い笑みだったよね?
なんで微笑ましげに見られてんの!?
とにかく、ソレ達の事には十分注意を図れるように似顔絵を見せてもらった。
あ、賞金書いてある…って、これ手配書じゃん!
仕事早い!
まぁ、良い事だけど。
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