第34話食いしん坊万歳!

宿に帰って私はジーンに聞いた。


「そういえば、料理とか出来るとことかあるのかな?」

「多分調理場を借りれると思う。金のない奴は自炊するからな」


なるほど。

そういう理由があるのか。


「ただ、ヒヨリ1人で借りるのは無理だから俺に言ってからにしろよ?」


そういえば私は小さいし、不器用だ。

いや、手が小さいからだけど。

ともかくジーンが一緒なら大丈夫。

大体、切る係がいないともれなく千切るしかないし。


「いつでも大丈夫かな?」

「いや、ある程度時間をずらしてた方が良いだろう。それよりどうした?もう自分の飯が食べたくなってきたか?」

「ううん。そうじゃなくって、作り置きしてた方が食べたい時に食べれて良いかなって思って」

「神か」

「そんなに!?」

「確かにヒヨリの鞄なら可能だな」


ジーンは意外と食べ物の事になると協力的になる。

昔ご飯で何かあったのだろうか?


夕食後のちょっと後にジーンが交渉してくれたら了承してくれた。

ついでにヒヨコマントを褒められた。

恥ずかしい。


というわけで、レッツクッキング!!


と言っても先生に言われたまま作るだけだけど。

野菜や肉や魚を切るのはジーンだし、私は焼いたり煮たり炒めたりするだけ。

もちろん味付けもするけどね。

一応味見してみて先生の言ったのより濃いめや薄めの方が良い場合は調整するけど、その調整で先生は私達の好みを把握して次からはその調整で言ってくれるから助かる。

先生、めっちゃ有能。

丼を作ったり、スープを作ったり、手軽に食べられる軽食を作ったり、シンプルな焼き魚や焼肉っていうかステーキとか作った。

こっそりデザートを作ってみたら、ジーンが興味深々だった。

…仕方ないよね。

美味しいもん、ホットケーキ。

ジーンにクリームを作ってもらって果物を飾って食べたら、ジーンは幸せそうだった。


くっ、イケメンオーラが眩しい!


まぁ、私も美味しくって幸せだから分かるけど。

とりあえず作ったものは鞄の中に入れておいた。


「ヒヨリ、また作ろう」


口の端にクリームを付けながら真剣な顔で言うものだから、私は笑いながらハンカチで拭ってあげながら了承した。


次の日起きたらジーンはもう起きていた。


「おはよう、ヒヨリ」

「うん、おはようジーン」

「とりあえず着替えて飯にしよう」

「はーい」


着替えは早い。

服変更と言うだけだから。

今日は小さい子ならではで似合うピンク色の服をチョイスしてみた。

これで結構普通の幼女っぽいかな?


「今日も可愛いな」

「うっ…あ,ありがとう」


今日も健在ですね、誉め殺し。

慣れてないのにずばずば言ってくるのは自重して欲しい半分嬉しい。


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