第33話やらかすのは大体同じ奴3

特に問題なく宿に帰れたと思ってたのは私だけだったらしい。


「ヒヨリ、入ったはいいが買いすぎだ」


そうだった。

私は無一文なのに全部ジーンに払わせてしまった。

なんたる失態!

刷り込みのせいか、子供になったため精神が引きずられたか、いや、止めよう。

そんなもののせいにしなくても私が悪いのは明白だ。

では、私がやることは一つ。


「ご、ごめんなさい。一杯薬草採って薬にして売って返すからね!」

「いや、お金は結構貯まっているし構わない。というかお前はまだ子供なんだから大人に任せておけ。俺が言いたいのはだな、あんなに食料品を買ってどうするんだって話だ。言われたまま買った俺もどうかと思うが…」


思っていた返事と違ったが、何を聞いているのだろうときょとりとして返した。


「え?作るけど?」

「飯屋があるのにか?」

「うん。だってたまにはお米とか食べたいし、先生に聞いてここで作ってないような料理とか食べたいし」

「なるほどな。その時は切る係は任せろ。だから俺も食いたい」

「もちろんだよ!」


笑い合う私達は味覚が似ているようだ。

そんな中、ふとジーンが何かを思い出したようだった。


「しまった」

「どうしたの?」

「ランのとこ忘れてた」

「あ」


慌ててランちゃんのお店に行く私達を出迎えてくれたランちゃんは、別に気にしてないと笑ってくれた。


「…あの、ランちゃん?」

「あらどうしたの?とっても可愛いわよ?」

「いや、確かに可愛いが…」


私がポンチョの代わりに着せられたのは、フードがヒヨコになってる黄色いマントだった。


「あら、ヒヨコちゃんマント、気に入ってくれなかった?」

「いえ、可愛いです」


あ、これ、密かに怒ってるやつだ。

態度が変わらないのが余計に怖い。

もう忘れないようにしよう。


「うふふ、まぁ可愛いけど目立つからね、他にもデザインは描いておいたわ。でも今日一日はソレね」


そう言って可愛くウインクしてくれた。

ラ、ランちゃーん!

優しい!

女神のようだ!

あ、知識の神様ちょっと思い出した。

彼も優しかったなぁ。


そんな事を思いながら頷きながら返事をすると、にこっと笑ってくれた。

はわー…。


「助かった、ありがとうラン」

「こっちにとっても利益のあるお仕事は大歓迎よ。でも2人共、あんまり無茶はダメよ?」


心配そうにするランちゃんに私達が頷くと、ホッとしたような綺麗な笑顔を見せてくれた。

やっぱり美人の笑顔は癒しだ。

無理せず、怒らせず、ランちゃんには今の綺麗な笑顔のままでいてもらおう。

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