どうしてそうなった。

え、そんなことさっきは言ってなかったよね？

なのに、え、なんで？

『ご好意です』

マジかよ！？

「ヒヨリちゃん、どうかしたの？」

おそらく百面相していた私を気遣うように、ランちゃんが覗き込んできた。

わお、ドアップでもお綺麗ですね。

「えっとね、ランちゃん。お、お洋服はジーンが帰って来てからでもいーい？」

「あら？でもあの子センスないわよ？全身真っ黒になっちゃうわよ」

「え、えっと、その、マントを先に見せてもらおうかなって…」

『マントも変更可能です』

マジすか。

「そうね、マントを…」

「ちょおーっと待って！！」

「あら、どうしたの？」

「えっとえっと、ジーンはまだかな？」

「あらあら。そうよね、初対面の人と2人っきりなんて心細いわよね。多分そろそろ戻ってくるとは思うのだけど…」

ごめんなさい。

そんなんじゃないんだけど、私のチートという先生が！！

いや、神様が元凶か？

とにかくジーンがいないと自己判断は危険過ぎる。

とにかく助けてジーン！！

そうこうしていると、何やら怒鳴り声が聞こえてきた。

「おい、いい加減にしろよ！」

そこには背の小さい人族の女性が立っていた。

所謂軍服みたいなのを着ているから軍人なのかな？

「あらあら、女の子が怒鳴っちゃダメよ？お客さんもいるのだから」

「その怒鳴り相手はお前だぞ、ランドルフ！って客？」

ランドルフ…。

だからランちゃんか。

「んもう、ランちゃんって呼んでって言ってるのに。お客さんはこの子よ」

「この子って、お前まさかついに犯罪…」

「違うわよ！預かってるのよ！」

「預かってる？誰だそんな危篤な奴は」

「“漆黒”よ」

「な、なんだと？まさか“漆黒”が犯罪」

「違うから」

何でこんなにもこの人は人を犯罪者にしたがるんだろ？

とりあえず挨拶しとこう。

「あの、ヒヨリです」

「挨拶出来るのか、偉いな。届けは出してあるか？全くBランク冒険者が誘拐犯なんて不祥事なるぞ」

だから何故執拗に犯罪者にしたがるのか。

というか、

「Bランク冒険者？」

「知らないのか？冒険者はS〜Fまであって、Fは所謂街のお使い程度、薬草採りとかな。Eはスライムとか所謂Eランクの魔物の退治、Dはウルフやホーンラビットとか少し強くなったDランクの魔物。Cでやっと冒険者と呼ばれる程度で護衛の仕事が出来るようになる。Bは弱い冒険者の指導が出来る。強い魔物とも戦えなきゃいけないし、大型の魔物の討伐隊にも入れる。Aはパーティでドラゴン退治が出来る程強くなきゃムリだ。一流の冒険者と言われるのはここだな。Sはあれは規格外だ。1人でドラゴン倒したり、1パーティだけでダンジョン攻略とかな。大体変人が多い。因みにランドルフはAランクだぞ」

「えぇ！？」

今大量に情報が入ったのに更にランちゃんが強いことが分かった。