第11話うっかりってあるよね
「それよりポンチョで翼が隠れていたのは良かったが、せめてフードがあれば良かったんだが。ヒヨリは見目がいい。まだ助かったのは幼すぎたから…いや、そういう趣味の奴も居るしな…」
なにやら小声でブツブツと呟いているが、何となく察した。
確かに自分で言うのもなんだが、私は美幼女だ。
そういう目当ての人が居るに違いない。
人攫いにも一人居たし。
「ヒヨリ、嫌かも知れないが、出来るだけ俺から離れるな。…出来るなら抱っこ、いや、手を繋ぐくらい出来たらいいんだが…どうだ?」
そう言って恐る恐るジーンさんは手を差し伸べてくれた。
剣を振るうくらいだから、ゴツゴツと見た目と違って男らしい手だった。
私も恐る恐る震えながらジーンさんの手を重ねた。
怖いと思うと同時に温かいと思った。
キュッと握るとジーンさんも壊れ物を扱うように握ってくれた。
「…どうだ、怖くないか?」
「ちょっと怖いです。でも、奴らとは違うって感じます」
「ヒヨリ、ありがとう」
ジーンさんはホッとしたようにお礼を言ってくれた。
本来お礼を言わなきゃいけないのは私の方だ。
こんな怪しい幼女を助けようだなんて人が良すぎる。
「とりあえず寝るか。ヒヨリ、俺ので悪いんだがこの毛布を使え。風邪を引くからな」
「あ、毛布なら持ってますから大丈夫です」
「え?」
後々鞄の中を確かめると色々入ってたんだよね。
毛布や鏡とか色々ハンカチとか何故かリボンまで。
どうも運命の神様は女の子に夢でも見ているようだ。
私の中ではロリコン疑惑が少し出ているが、そこは私の心の中だけに留めておこう。
とにかく、ずるりと鞄から出して見せるとジーンさんはため息を吐いた。
あれ、どうしたんだろう?
「ヒヨリ、その鞄、収納鞄だな?」
「え、はい。…あ!」
「それも目をつけられるから人前では大きな物を出し入れしない方がいい」
「は、はい。あ、でも、これは私用なんで他の人は使えない便利機能で」
「ヒヨリ、それはお前に付加価値が付くだけだ」
「あれ?」
チートのお陰で助かってたのにそれで狙われるとは思ってなかった。
「…俺の勘が他にもあると言っている。ムリにとは言わないが言えるだけ言っておけ。ヒヨリは人が良すぎるから利用されそうで心配だ」
あれー?
人が良いのはジーンさんなのに、そのジーンさんに言われるとは思わなかったよ。
しかもなんかめちゃくちゃ心配されてるし。
「えっと、えっと、特にない気がするんですけど」
「無意識か」
あるって結論つけられる!?
え、でも本当にない…あ。
先生が居たわ。
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