第8話フードの人に遭遇
そこにはフードを被った人が木に凭れていた。
暗いしよく分からないが先生が人族と言うからにはそうなのだろう。
先生が言うには毒に侵されているらしい。
そしてその毒は私の持ってる解毒草で治せるらしい。
正直関わるのが怖い。
いい人か悪い人かも分からないのだ。
でも選んだのは私だ。
今更見捨てるのも後味が悪い。
フードの人は苦しそうに浅く息をして辛そうだ。
私はこっそり解毒草を取り出し擦り潰していった。
解毒草といっても何種類もあるんだけど、治せる解毒草が欲しいと思うだけで出してくれる鞄、マジチート。
あ、これ、私名前覚えれない奴だ、と軽く思ったけど気にしない。
あとは先生に聞きながら調薬するだけでいい。
先生も超優秀で頭が上がらない。
飲んでもらうものだから飲みやすく出来るか聞いたら出来るらしい。
今でさえ辛そうなのにこれ以上の苦行はいらない。
あとは飲んでもらうだけなんだけど…難しくね?
森の中で幼女1人が薬持って来て飲めと言う。
めっちゃ怪しいよね。
でも考えてる暇などない。
飲む飲まないはお任せだ。
後は知らぬ!
そう自分に言い聞かせて、そろりと近付くと、カチャリと剣を構えられた。
でーすーよーねー!
「あ、あの、薬、あります。飲んで、下さい!」
若干片言になりながら、そろりと近付き、届く範囲まで持って行ったらピャッと走り去った。
フードの人は少し経って剣を仕舞い、薬を手にした。
「どのみち、死を待つだけ、だ。有り難く、ちょうだい、する」
そう言うと躊躇なくグイッと飲み干して、横に倒れた。
そう、倒れた。
「え、えぇー!?え、効かなかった!?遅かったの!?」
涙目で混乱している私に、先生は気を失っただけだと教えてくれた。
気を張っていたのか限界だったらしい。
私はホッとしてからあることに気付いた。
じゃあ、この人今無防備じゃね?
それを置いて行くとかせっかく解毒したのに見殺しにならない?
仕方なしにとりあえず小枝を集めて火を起こした。
大抵の魔物は近付かないらしいからいいけど、人は来るかも知れない。
その時は悪いけど置いて逃げよう。
多分大丈夫だよ、うん。
何かが来る気配もないし、フードの人も起きる気配がない。
とりあえずお腹空いたので先生に聞きながらレッツクッキング!!
野草とキノコのスープと炊きたてご飯。
うむ、肉が欲しい。
幼女のお腹は小さいのでスープとご飯で充分。
あと行儀悪いけどご飯に掛けて2度美味しい。
えへへ、ずぞぞっと。
その匂いか音かは分からないけど、フードの人が起きたようだ。
「えっと、おはよう、じゃなくてこんばんは?えぇっと、身体の具合はいかがですか?」
そう言うとフードの人はビクついて起き上がった。
手には勿論剣があります、はい。
しかし私を認識したのか少し経って剣を置いた。
「すまない。大丈夫だ、助かった」
幼女相手なのに丁寧に頭を下げてお礼を言ってくれた。
好印象だぜ!
「…親や連れはいないのか?まさか1人じゃないだろうな?」
周りを見て不思議に思ったのだろう。
うむ、私でもそう思うよ。
とりあえず神様に降ろされたことは話さず、人攫いに遭って逃げてきたことを言った。
「そうだったのか。あぁ、通りでギルドが騒がしかったのか」
フードの人は大して興味がなかったらしく今更になって知ったようだ。
ぐきゅるるる〜。
…私でないことだけは提示しておこう。
犯人は自ずとお分かりの通りフードの人だ。
まぁ、ずっと寝てたしね。
仕方ないよね。
ということで、作ったスープを差し出してみた。
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