第2話
俺は、一人気になる女性が居る。
クラスメイトの茅野さん。
気になるようになったキッカケはあれだ…。
え〜と……。そう、あれだ!
いつも一人で居るのが気になったんだ。
彼女は美人の部類に入ると思う。ただ、彼女は自分から誰かに声を掛けるタイプではなかった。
いつも一人、窓際の席で静かに本を読んでいた。
気になるようになって改めて見ると、色々な事に気付く。
本を持つ指が綺麗なんだな。とか、爪ちゃんと手入れしてるんだ。とか……。
ただ、自分が恋に落ちた瞬間だけは、覚えてる。
いつも通り、窓際の席で本を読む彼女。クラス替えしたばかりのまだちょっと肌寒い春の日の午後、少し開け放たれた窓から、そよ風より、ちょっと強い風が吹いたんだ。
その風に、本に目を落としていた彼女が不意に視線を上げる。長い髪を綺麗な手で押さえ、遠くの空を眺める。
その仕草が、その何気ない仕草から目を離せなくなっていた。
そう、俺はもうその瞬間に恋に落ちていたんだ……。
自慢じゃないが、俺は女性にモテる。告白されたのも一度や二度じゃない。
ただ、誰かに告白したいと思ったのは初めてだった。
どうしても、自分の気持ちを茅野さんに伝えたいと思ってしまった。
だから、俺は頑張ったんだよ!
茅野さんはクラスメイトとはあまり話さない。LINEでやりとりなんてしてるクラスメイトも居なかった。
だから、仲の良い女友達にお願いして、彼女の中学時代の友人から、LINEのアドレスを聞き出して貰ったんだ。
アドレスをGETしたのに、なかなか茅野さんにメッセージは送れなかった……。
送ろうとする度に、心臓がここに居るぞ!って位、自己主張しやがるんだ! スマホを持つ手も震えやがる。
何日も何日もそんな日が続いた。
気が付くと、一学期は終わり、夏休みに入ってしまっていた。
こんなはずじゃなかった!
もっと、早く告白して、夏休みは茅野さんとデートしまくる予定だったんだ。
だが、それが出来ずに、茅野さんに逢えない日々が続く……。
長い長い夏休みが終わった。
久しぶりに学校に来て、茅野さんの横顔を見ただけで、やっぱり好きだ!って気持ちが溢れてきた。
だから、俺こと松井は、その夜、意を決して遂に茅野さんにメッセージを送ったんだ。
ただ、一言。「好きです」と、だけ……。
だが、未だに彼女から返信は来ない。
秋の爽やかな風が、今日も彼女の髪を、優しく
初恋 榊原シオン @sion0411
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