第11話

 結城たちは、鳥類のコーナーにやってきた。そこではフクロウとのふれあいコーナーができており、小さな子がフクロウを肩に乗せてもらったりして喜んでいた。氷もフクロウを肩に乗せて、指をあまがみされていた。


「動物って可愛いですね」


 氷は、フクロウをなでながら微笑む。


「将来、珍しい動物に囲まれてくらしたいんです」


 氷の夢は、彼女らしいものだった。


「いつか叶うといいな」


 結城がそう語ると、氷は頬を膨らます。


「あなたと叶えたい夢なのに」


 フクロウが羽ばたいた。けれどもフクロウは飛べず、地面に着地しただけだった。


 その光景に、氷は暗い表情をした。


 結城が、氷の顔を覗き込む。


「どうしたんだ?」


「フクロウが空を飛べなかったから」


 氷の表情は暗い。


 結城は「風切りばねを切られているからな。飛べないもんなんだよ」と答えた。氷は首を振る。


「跳べなかったから、結城さんとも一緒にいられないような気がして……ほら、大空に飛んでいった方が縁起がいいじゃないですか」


 氷は、そう言った。


「捉え方しだいだろ」


 結城は言う。


「飛べなくとも、この場にはいられるだろ。飼育員の、ずっとそばにいてくれる」


 言いながら、結城は思った。


 自分は、氷の飼育員になりたいのだろうか。


 いいや、違う。


「俺はロリコンじゃない」


 結城は自分で言いながら、かぶりを振る。


「俺はロリコンじゃない!」

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