逃亡者たちのクルーズ

ネットの海は夜の22時

しゃべり声はこだまして

水面みなもを伝う波は形を変え

広がり 屈折して 跳ね返る


昔からいる奴らは

新しい場所を怖がり

新しく来た者は

居場所を探し彷徨う


逃亡者たちのクルーズ

どこからかまたやってきた

今度はどんな顔してる?

クルーズ来るの早くないですか?


満員電車は朝の8時

発車メロディと無数の足音

もみくちゃにされて息苦しくて

この港をあとにする


ふらふらとこの場所に

どこから逃げて来たのか

そしてどこへ逃げるのか

どこまでも探し彷徨う


逃亡者たちのクルーズ

どこかへまた旅に出る

今度はなにを求めてる?

クルーズ来るの早くないですか?


アホウドリは滑空して

水面の上を滑るように飛ぶ

何千キロの旅の行方

教えてくれと訊いてみる


逃亡者たちのクルーズ

すべてを捨てて旅に出る

今度はどこへいくだろうか?

クルーズ来るの早くないですか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

元住吉菜々緒の詩集 元住吉菜々緒 @esper2000

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る