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「待っててよ。焦って他の男と結婚しないで。」
「しないよ。待つ、待ちます。樹くんこそ、浮気しないでね。」
「誰に言ってるの?」
樹くんは意地悪そうに笑うと、私の左手を取って指輪にキスを落とした。
前にも一度同じようなことをされたけど、その時以上に胸のときめきが抑えられない。
ドキドキと心臓が悲鳴を上げているようだ。
「俺のことしか考えられないようにしてあげようか?」
ぐいっと引き寄せられると、深いキスが落とされた。幸せな気持ちにすぐに溺れそうになる。
「樹くん、好きだよ。」
自然と口から出た言葉に、自分でも驚く。
けれど驚いていたのは樹くんもだった。
口元を押さえて顔を赤らめている。
「姫乃さんから言ってくれたの初めてだ。……俺も、好きだよ。」
優しく笑みを落とす樹くんの手が私の手と絡み合う。その温もりが愛しすぎてほどくことができなくなった。
見つめ合い絡み合う視線は甘く優しく、そしてまたゆっくりと唇が重ねられた。
私のアラサーライフは終わりを迎える。
それは新しい始まりとともに……。
【END】
会社の後輩に甘やかされています あさの紅茶 @himemon
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