65
祥子さんはニヤニヤしながら私の指輪を見つめる。
「それにしても。早速指輪を贈るとは、やるわね、大野。澄ました顔して独占欲強いと見た。」
「でも私年上だし、何か申し訳ないっていうか。」
「はあ?姫ちゃんそんなこと気にしてるの?恋愛に年齢は関係ないのよ。」
「そうですかね?」
「親子ほど離れてるわけでもなし何も問題ないじゃない。それにね、大野くんは出世するわよー。」
「出世ですか。」
「国立大院卒でしょ。いわゆるエリートコースね。」
「誰がエリートなんですか?」
エリートという言葉に反応したのか、一度去っていた真希ちゃんがまた食い入るように会話に入ってくる。
「大野くんよ、大野くん。」
「マジですか?私狙った方がいいですか?」
「真希ちゃん、あなたは落ち着きなさい。大野くんは姫ちゃんのだから。」
諭すように言う祥子さんに真希ちゃんは殊更驚くと、今度は私に向き直る。
「ええっ!そこんとこ詳しく。」
「詳しくだなんて……。」
「真希ちゃん、なんで話聞いてなかったのよ。」
「祥子さん、ちゃんと私も仲間に入れて話してくださいよーう。」
「あはは。」
くだらないおしゃべりは始業の鐘と共に散っていった。
恋人にも恵まれ仕事での人間関係にも恵まれ、改めて幸せを噛みしめながら日々が過ぎていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます