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祥子さんはニヤニヤしながら私の指輪を見つめる。


「それにしても。早速指輪を贈るとは、やるわね、大野。澄ました顔して独占欲強いと見た。」


「でも私年上だし、何か申し訳ないっていうか。」


「はあ?姫ちゃんそんなこと気にしてるの?恋愛に年齢は関係ないのよ。」


「そうですかね?」


「親子ほど離れてるわけでもなし何も問題ないじゃない。それにね、大野くんは出世するわよー。」


「出世ですか。」


「国立大院卒でしょ。いわゆるエリートコースね。」


「誰がエリートなんですか?」


エリートという言葉に反応したのか、一度去っていた真希ちゃんがまた食い入るように会話に入ってくる。


「大野くんよ、大野くん。」


「マジですか?私狙った方がいいですか?」


「真希ちゃん、あなたは落ち着きなさい。大野くんは姫ちゃんのだから。」


諭すように言う祥子さんに真希ちゃんは殊更驚くと、今度は私に向き直る。


「ええっ!そこんとこ詳しく。」


「詳しくだなんて……。」


「真希ちゃん、なんで話聞いてなかったのよ。」


「祥子さん、ちゃんと私も仲間に入れて話してくださいよーう。」


「あはは。」


くだらないおしゃべりは始業の鐘と共に散っていった。

恋人にも恵まれ仕事での人間関係にも恵まれ、改めて幸せを噛みしめながら日々が過ぎていった。

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