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落ち着いて、私。

もういい大人なんだから、こんなことくらいで動揺していちゃダメでしょ。

私は大暴れする心臓に手を押し当てて、深く深呼吸をする。


「姫乃さん。」


肩を叩かれゆっくりと振り向くと、いつの間にかこちらの布団にきていた樹くんに振り向き様にキスをされ、それだけで私の理性は飛んでいってしまいそうになる。

ゆっくりと布団に押し倒され、私の緊張はピークに達した。

これから起こることは初体験でどうしたらいいかわからない。それが余計に私を焦らせる。


「樹くん……。」


「ん?」


「私初めてで……。」


「知ってるよ。」


「だからよくわからなくて……。」


「いいんじゃない?」


「どうしたらいいか……。」


「力を抜いていればいいと思うけど。」


「でも……。」


「もうその口黙らせます。」


手と手が絡み合いぐっと布団に押しつけられるとあっという間に組み敷かれる形になった。

優しいキスはどんどん深くなって、受け止めるだけで精一杯だ。


「んんっ!」


今まで経験したことのない自分の甘ったるい声に動揺してしまう。

それなのに、


「すごく可愛い、姫乃さん。」


甘くささやかれて、とたんに体の奥からキューンとした。


身も心もとろとろに溶かされて、あっという間に夜が更けていった。

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