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会社のレクリエーションでバーベキューが開催された。我が社の年一の大規模イベントだ。他部署との交流イベントでもあるので、毎年大盛り上がりする。


「今年は姫乃さんにくっついてますね。」


真希ちゃんが私の隣を陣取り、意気込んだ。

その意味がよくわからなくて、私は尋ねる。


「どうして?」


「姫乃さんがフリーだと知れ渡ってるので、引く手あまたに男性陣が寄ってくることを予想してます。」


「まさか?」


「私はおこぼれに預かります。」


真希ちゃんがぐっとガッツポーズをするので私は苦笑いだ。

こういうのを肉食系というのだろうか。

本当に男性陣が声をかけてくれるのなら、私も真希ちゃんみたいにガツガツ行く方がいいのだろうか。

ひとり考え込んでいると、さっそく声がかけられた。


「どう?やっとるかね?」


顔を上げるとそこにはイケメン…ではなく、部長がにこやかに立っている。私は慌てて姿勢を正した。


「部長、ご無沙汰しております。ビールいかがですか?」


「朱宮くんは相変わらずよく気が利くね。でも遠慮しておくよ、最近尿酸値がやばくてねぇ、酒は控えてるんだ。あっはっはっ。」


「そうなんですか。じゃあ代わりにお肉をたくさん食べてくださいね。」


私が部長と話し込んでいると、真希ちゃんがボソリと呟く。


「まさか部長が来るとは予想外だったわ。部長が姫乃さん占領して、他の男が近づかない。」


静かにビールを飲んでいた祥子さんがお腹を抱えて笑い出す。


「残念だったわね、真希ちゃん。姫ちゃんが入社したときの上司が今の部長なのよ。だから仲がいいわけ。」


祥子さんはあきらめろと言わんばかりに真希ちゃんの肩をバンバンと叩いた。

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