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もう一度、唇が触れるときだった。
ピンポーン
突然のインターホンに、はっと我に返る。
それは樹くんも同じだったようで、二人で顔を見合わせると気恥ずかしくなって目をそらした。
「彼氏とケンカしたー!」
玄関を開けると渚ちゃんが頬を膨らませながらずかずかと上がり込んでくる。
「またかよ。」
「ちょーむかつくし。」
ぷりぷり怒りながら入ってくる渚ちゃんは私と目が合うと、ぴたっと動きが止まる。
「姫乃さんいたんだ?ごめん、お兄ちゃん。」
「ほんとお前タイミング悪いのな。狙ってんのかよ?」
私は先ほどのドキドキが止まらず、たぶんまだ赤い顔をしている。渚ちゃんは私と樹くんの顔を交互に見ながら、バツの悪そうな顔をした。
「何か私お邪魔だったよね?帰る、ね。」
何かを察したであろう渚ちゃんは慌てて靴を履く。やばい、何を察したというのだ。だけど今また樹くんと二人きりになるほうが気まずい気がする。
「いやいやいや、待って。一緒にご飯食べよ?」
私は慌てて渚ちゃんを呼び止め、中へ引きずり込んだ。
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