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個人店らしきラーメン店は入口が小さく、少し染みのできた暖簾が掲げられていた。


中に入るとカウンター席しかない本当に小さなラーメン屋さんだ。いらっしゃい!と大将の元気のいい声が響く。


私はペコリとお辞儀をして、樹くんのあとに続いた。


「ここ俺のお気に入り。メニューはラーメンだけで、トッピングが選べるんですよ。」


手元にメニューはなく、樹くんの視線の先をたどると壁にラーメンと大きく書かれ、トッピングの内容が手書きで貼ってあった。


「俺のおすすめでいい?」


「うん。」


見てもよくわからなかったので、樹くんおすすめを紹介してくれて頼もしい限りだ。


「はい、お待ちっ。」


しばらくすると目の前に差し出されるラーメン丼。熱々の湯気が立ち上ぼり、美味しそうな香りが食欲を誘う。

麺の上にはチャーシューとメンマ、キクラゲ、それに味玉がのっている。


「美味しそう。いただきます。」


ひとくち食べただけなのに、その美味しさに目を丸くする。家で作るのとは全然違う味に感動してしまった。


「ん~、美味しいっ!」


落ちそうになる頬を押さえながら樹くんを見ると優しく微笑んでいて、その柔らかい表情に図らずも私の胸はドキッとしてしまう。

気にしないように目の前のラーメンに集中した。

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