28
「姫乃さんって見かけによらず庶民的なんだ。」
樹くんが意外そうに言う。
「私は思いきり庶民ですー。なんか回りの人が私に抱くイメージが変なのよ。何でかな?」
本当に、特に猫を被っているわけではないのに、私の見た目なのか態度なのか、よくわからないけど昔から勝手なイメージが一人歩きしていく。そんなんじゃないのに、と否定してもなかなか受け入れられてもらえない。
「ふわふわしててお嬢様みたいだよね。俺も初めて見たときはお嬢様かと思ったし。名前もお嬢様っぽい。だから彼氏ができないのかもね。」
「どういうこと?」
「姫乃さんめちゃくちゃ人気あるんだけど、高嶺の花だから手を出しにくい。」
「ええっ、私そんなんじゃないのに。どうしたらそのイメージ払拭できるんだろう?」
「払拭したら姫乃さん今以上にモテるからやめて。」
「そんな。モテてないから困ってるのに。」
思わず頬が膨らんだ。
モテなさすぎていつの間にかアラサーの私。
それを高嶺の花だからなんて理由、光栄だけどとうてい受け入れられるものではない。
「モテたいの?」
「モテたい!」
樹くんの問いに力いっぱい答えると、樹くんはお腹を抱えて笑い出した。
「ははっ、姫乃さんウケる。」
「あー、もう、またバカにしてるー。」
「してないです。」
「してるよー。」
「ははは、はいはい、すみません。」
私は怒っているのに、樹くんはとても楽しそうに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます