第7話 更に加速 『heard (your heart.)』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054935684467/episodes/1177354054935684843


 もともとあった『heard』( https://kakuyomu.jp/works/1177354054921340676 )を、更に拡張した二作目になります。話に直接的な繋がりはありませんが、両作ともに「何かを聴く」ことがテーマになっています。


 今回のテーマは心臓の音です。

 さらに、前話の6話で紹介した孤独に関する内容を引き続きテーマとして設定し、今回は特例的にデータプログラムに理解のための語句として「孤独」という単語を実際に作中に使用しました。というか、書いているときはなにも考えていないのでなぜそこだけ「孤独」と書かれているのかはわたしにも分かりません。なんでだろう。


 一貫して「セックスをすることで関係が深まるのか」という話をしていますが、実際に必要なのはお互いの心や本音を聴き取ることであり、彼は彼女のいる場所へ必死に走ることでようやくふたりで生きることの実感を得、彼女は彼の心音を聴くことではじめて一緒にいられる安心を得るのだと思われます。おたがいに聴く場所や聴いているものは異なりますが、それでもセックスだけを目的としない円熟した夫婦関係を見いだすことに成功しました。


 前回の「heard」は、孤独に対して強い恐怖を持つ拾い子の彼と、普通であることに負い目を持つ性欲強めの彼女が、お互いの本音を聴くまでの物語でした。


 今回の「heard」は、孤独を心の拠り所にする異常知能の彼と、彼を心の拠り所にする普通の彼女の、お互いの心と気持ちを尊重するあまりすれ違ってしまうふたりが抱き合って心臓の音を聴くまでの物語になりました。


 より孤独に関する内容が深まり、同時にセックス以外での心を開く方法としてのテーマを達成できたかなと思います。


 なんか台無しになるなと思ってENDmarker.付けなかったんですが、一応第7話最後の「彼が眠りはじめる」シーンで彼は死んだことになっています。あそこで読み止めると彼が死んでバッドエンドです。世界を救うために命を懸けた彼が、「彼がいないのなら世界はいらない」とまで想ってくれる彼女の腕のなかで死ぬというなんとも救いようのないバッドエンドです。

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